群雄割拠の章
第3話 『どうしてこうなった』
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ったら話を聞いてから決めれば?」
「そこで言質取られて、なし崩しに曹操に敵対することになったら!?」
「あー……会った事自体が共闘する意思と取られるってことか。それを言ったら、すでに協力しようって話になっている事自体、敵対する理由になるんじゃない?」
「ぐっ……」
曹操ってあの奸雄、曹操だろ?
だったら敵対する気なら、どんな理由をこじつけてでも敵対して攻めてくるんじゃないか?
「白蓮は、結局どっちが正しいと思うんだ?」
「え?」
「だから、今回の話。曹操と陶謙、どっちが正しいと思うんだ?」
「いや……ま、まあ、現状わかっている状況で考えるなら曹操の怒りは至極当然だし、陶謙側に責任があるわけで……」
「じゃあ、それを使者に突きつけてさ。仁義を通してから改めて話持って来いって言えば?」
「そ、そんな……子供の喧嘩じゃないんだぞ!?」
まあ、そうだな。
「けどさ。結局の所、打算と義理人情で頭ややこしくして悩むぐらいなら……素直に自分の心のままにでいいと思うけどなあ、俺は」
「お、おま、盾二……」
「だってさ。どっちに味方をするとしても、だよ? どっちかと敵対する道しか残ってないんじゃ、それしかないと思わない?」
「て、敵対……両方が穏便に矛を収めるという手だって」
「あ、ないない。片方が片方の権力者の家族殺している時点で、その可能性は一切ない」
どうやったって恨みは残る。
歴史的に見ても、専制君主制の時代でそんなことをしたら、向こう百年争う結果になっても絶対に敵対しない道はない。
権力者が入れ替わる民主主義ですら、過去の遺恨を百年以上蒸し返す国はあるんだから。
「そもそもさ。陶謙って州牧で、曹操は皇帝の後見人だろ? 実力差ありありじゃないか。打算的に見ても陶謙に手を貸すのは自滅するだけだよ?」
「いや、けど、でも……」
「今の白蓮ってさ、一時的な判官贔屓で弱い方に手を貸したくなっているだけじゃないか?」
「ほうがん、びいき?」
あ、判官贔屓の言葉はこの時代どころか、この大陸にゃないか。
「簡単にいえば、弱いほうが可哀相だからって上目線からの一時的な優越感に浸りたいだけだろ、てこと」
「な! そ、そんなことは!」
「ないといえる? 心情的にも打算的にも結果が出ているのに?」
「……………………」
「まあ、女性的に言い換えれば、子供が悪いとわかっているのに子供を守るために必死で『うちの子は悪くない』と言う母親を想像してみればわかるかもね。そういう心情、ないと言える?」
「それとこれとは話が別だ! そもそも母親の心情など私がわかるものか!」
あちゃ……変な話振ったのはまずったか。
「ごめんごめん。でもさ、白蓮。結局のところ……白蓮が守りたいのは何?」
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