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銀河親爺伝説
第八話 作戦会議
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「だろうな、なんだ、お前こそ詳しいじゃねえか」
爺さんが悪戯っぽい目で俺を見ている。
「冷やかすなよ。シャフハウゼン子爵夫人が平民だった。子爵と結婚するのに随分と金がかかったと聞いている」
爺さんが“ああ、そうか、そうだったな”と頷いた。

「では他の貴族達とも親しくは無いのですね」
キルヒアイスが問い掛けると爺さんは頷いた。
「親しくないな。さっきの会議でフレーゲル男爵はミューゼルに嫌味を言っていたが半分くらいはリメス男爵に対する当てこすりだ。平民、成り上がり、分かるだろう? 貴族社会ではリメス男爵の名は忌み嫌われているんだ」
「忌み嫌われている?」
思わずキルヒアイスと顔を見合わせた。キルヒアイスも驚いている。爺さんは右手を顎にやって撫で始めた。

「色々と有ってな。貴族社会じゃあの家は嫌われているし懼れられてもいる。お前らがリメス男爵を知らねえのも無理はねえさ。宮中じゃ誰もあの男の事を口にしない」
「……色々って、何が有ったんだ?」
俺が問い掛けると爺さんが大きく息を吐いた。手で近付けという仕草をした。微妙な、いや爺さん流に言えばヤバイ話らしい。顔を寄せると小声で話し始めた。

「貴族の生死、没落に妙に敏いんだ。反逆を起こす貴族の領地の特産物を事前に買い占めておいて反逆で暴騰した所で売る。或いは貴族の当主が死ねば当然だが混乱が生じる、特に後継ぎが無ければ混乱は長引く、それに乗じて儲ける。リメス男爵はかなりのやり手だぜ、ぼったくりに近いって評判だ」
「……」

「妙な話だよな、一体何処からそれを嗅ぎつけるのか。貴族達も皆不思議がっているって聞いた事が有る。元々リメス男爵家はそれほど裕福だったわけじゃねえ。後継者の件ではかなり散財したと聞いている。だが今じゃリメス男爵家は帝国貴族の中でもかなりの資産家の筈だ」
キルヒアイスを見た。信じられないと言った表情をしている。俺も同感だ。

「父親じゃないのか?」
「俺もそう思いたいんだがな、そうじゃねえみたいなんだよ。あの家の事を知っている人間は父親の事は生真面目な弁護士でごく普通の人間だと言うらしい。息子の方が怪物だってな」
まさか、と思った。外見は穏やかな青年にしか見えなかった。

「見くびるんじゃねえぞ、会議を思い出してみろ。リメス男爵はフレーゲルなんざ相手にしていなかった。ブラウンシュバイク公も恐れてはいねえ」
「ああ、確かに」
「ミュッケンベルガーも声をかけられただけで露骨に構えてた。怖がっているんだよ。俺だって出撃に同行したいと言われた時は震え上がったぜ」
「爺さん」
冗談は止せ、爺さんに怖い者など有るか、そう思ったが爺さんは首を横に振った。

「ヘルクスハイマー伯爵家、シュテーガー男爵家、グリンメルスハウゼン子爵家、ハルテンベルク伯爵家、
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