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閃の軌跡 ー辺境の復讐者ー
第1話〜始まりの鐘〜
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も仕方がないという考えに至り、次々に扉の中へと入っていく。

(人の気配を感じるな・・・何もしてきそうな様子はないけど)

「えっと、ケイン?どうかしたの?」

「いや、何でも・・・さて、俺たちも行こうぜ」

「そ、そうだね」

ここにいる人間とは別の気配を感じて立ち止まっていたケインだが、敵意が無いことを悟り、エリオットに呼ばれたので、仲良し3人組み(?)で中へと足を踏み入れる。エリオットいわくいかにも出そうなその建物はの内部は薄暗く、何とも言えない物々しさがあった。一足先にいた女性教官は段差の上に立っている。

(何が始まるっていうんだ・・・)

特別オリエンテーリングを始めると言われてついてきたわけだがこんなところですることなど皆目見当もつかない。何をするにも不向きそうではあるが、ひとまずはZ組担任であるらしいサラ・バレスタイン教官の話を聞くことにした。話によると、この11人が本年度から新たに発足された特科クラス、通称は<<Z組>>で、貴族生徒と平民生徒の混同クラスということらしい。ここ、エレボニア帝国では貴族制度が顕著にあり、貴族派と革新派で帝国内部を二分するほどだ。無論、その近郊にある当学院もその影響を受けていて、貴族生徒は白い制服、平民生徒は緑色の制服と区別されており、所属するクラスも異なる。今年は確か、T・U組が貴族生徒、V〜X組が平民生徒の計5クラスだったはずだ。ケインと同じ考えに至った眼鏡の少女が先ほどそんな質問をした。貴族生徒と同じクラスになることに断固拒否表明をした緑髪の少年、マキアス・レーグニッツも四大名門の一角たるご子息の金髪少年、ユーシス・アルバレアに挑発され、けんか腰になっていたところを一同の眼前に立つサラ教官に止められていた。

(貴族、か・・・いや、こういう偏見は良くないよな)

貴族を快く思っていない部分があるケインは、まだ貴族に対して少しでも嫌悪がある自分に忸怩たる思いを感じている。

「もしかして・・・門のところで預けたものと関係が?」

これまでのサラ教官の話では特別オリエンテーリングなるものに関しては何も説明されていない。リィンがそのことについて何か気づいたらしく、そんなことを口にした。確かに入学式前に、学院の正門前で2人の先輩に得物を預けている。

(俺も篭手と聖剣、それに導力銃を預けたままだったな・・・待てよ?となると)

このオリエンテーリングの目的に気づいて身構えるケイン。・・・その後サラ教官は自身の左側にあるスイッチを押し、11人のいた床だった場所が突然下り坂になって、空虚な穴へと変わっていった。
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