消失−わかれ
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し合いの結果、君を島に迎え入れることにした。━━だがその前に、一つだけ聞きたいことがある」
岩石のように屈強な表情を崩さないまま、史彦は一夏にある一つの質問を投げ掛けた。
「君は、本当に我々と共に戦ってくれるのか?」
それは、大切な人を奪われた男の悲しみと憎悪。
それは、もう同じ悲劇を味わいたくないという、大人の恐怖。
それは、自分の進むべき道が間違っていないかという、真壁史彦の不安。
彼は怖いのだ。また大事な者を失ってしまうことに。そうしないためにこの島に来て、そして一番大事な者を危険な目に遭わせようとしてしまっていることに。
一夏はこの四つを、瞬時に“理解“した。あとはただ、それを受け入れるだけだ。
「━━はい。そのために俺は、ここにいるのですから」
屈託のない笑顔。それは織斑一夏だった頃のそれよりも無垢で、純粋で、そして眩しい笑顔だった。
━━俺はこれまで、本当の意味で必要とされたことがなかった。
家族にも、
友達にも、
先生にも、
近所にも、
今回の出来事だって、俺の中にあるデータと特異性が必要なだけで、俺自身はいらないのかもしれない。
それでも、俺は必要としてくれる人のためにこの身を捧げよう。
見ず知らずの、それでいて大切な貴方たちのために━━
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