DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第六話
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人使いが荒いな……否、矮小たる人の身ではないのだから、この表現は不適か――――ともかく、我が兄には現在繋げんよ。『あのお方』の制御に入ってらっしゃる』
聞こえてきたのは、あの《ノイゾ》と名乗った青髪の少女の声だ。何なのかよくわからない会話が続く。
「……『あの人』を……?そう……仕方ないわ。あなたに伝える。《黒の剣士》が《惟神》の鱗片を見せたわ。覚醒までは遠そうだけど」
『ほう、予定より少し早いな……まぁいい。それすらも我が兄の掌の上でしかないのだから……よかろう。ゲートを開け。兄者の言葉を伝えよう――――「エイン、君のALOでの役割は終わりだ。帰還せよ」』
「はい、お兄様」
宙にむかって頭を下げると、エインヘルヤルは右手を振った。
瞬間、重圧が消え去る。それだけではない。エインヘルヤルが纏っていた悪魔が消滅し、彼女は元の姿に戻ったのだ。さらには、キリト達の傷が癒える。
「『開け、我がレギオンの扉』」
その式句に反応して、エインヘルヤルの背後の時空が歪む。ブラックホールの如くそこだけ空間が消滅し、扉のように広がる。
次のエインヘルヤルの声は、ALOの全体に響いたらしい。らしい、というのは、このときキリトはそれを知るすべをもたなかったからだ。
「――――《白亜宮》が《七眷王》の一角、エインヘルヤル・イクス・アギオンス・レギオンルークが、汝ら妖精郷の住民達に告ぐ。お兄様が汝らによる反逆を許可された。自らが住まう世界を取り戻したいというのであれば――――集え。さらなる絶望を与えようぞ」
エインヘルヤルは、背後の黒いゲートに身を投じた。その姿が掻き消える。どこかへと転移したのだろうか。
「……どうしよう、キリト君。皆HPとMPは回復してるみたいだけど……」
アスナが問う。なにを、とは聞かない。エインヘルヤルの言葉どおりなら、恐らくあのゲートに入ることで、《白亜宮》とやらに行けるのだろう。アスナの問いは、このまま進むか、進まないか、という問いなのだ。
「……少し、休んでからにしよう。それでも遅くないはずだ」
ゲートが消えてしまう可能性はあったが、恐らくそれはすぐにおこることではないだろう。
あの闇の向こうには、ALOを取り戻すための手掛かりがある。それを、必ず掴み取って見せる――――
ひとまずはそこまで考えて、キリトはその場にどさり、と倒れ込んだ。
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