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相州戦神館學園 八命陣×新世界より  邯鄲の世界より
第7話 四四八の怒り、神栖66町との対決
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 四四八は夢を見ていた。夢を見る、それは四四八が十年以上も生きてきた中でごく普通の当たり前の光景である筈だった。

 明晰夢───。

 生まれた時から自分にはこの明晰夢を毎日のように見ている。人生の三分の一を睡眠に費やす普通の人間とは異なり、
片時も心が休まる暇などなかった。

 しかしその体質を四四八自身は自分の長所と見ていた。これがあるからこそ四四八は年齢以上に成熟した精神を持ちえたのだから。

 だが今四四八が見ている光景はそうしたこれまで自分が見てきた明晰夢とは決定的に異なっていたのだ。

 今まで見てきた夢の光景は世間一般の人間が見るぼやけたような視界ではなく、ハッキリとしたものであった。それこそ
現実と区別がつかない程にまでリアルな情景が広がっていたのだ。

 だが今自分の見ている夢もそうだが、その夢の内容に四四八自身は不快感を禁じ得なかった。

 怒り、嘲り、侮蔑、軽蔑、傲慢、卑下、罵倒、怒声───。

 ありとあらゆるマイナスの感情が奔流となって四四八に伝わってくる。

 視界は朧気ではあるものの、おおよその光景は分かっていた。

 これは裁判だ。

 そう、今四四八が見ている光景は法廷であり、罪人に対して有罪無罪を宣告する場所。四四八自身も法律家への道を志望している。

 だがこの裁判はどこかが歪んでいた。

 一介の犯罪者に対するようなものではない。これは四四八の直感が告げていた。

 「何なんだ、この裁判は……?」

 被告らしき人物は傍聴席、裁判官に向けて何か叫んでいる。その被告を傍聴席の者達、裁判官は嘲笑っているかのように見えた。

 そして今まで何を喋っているのか分からなかったが、ここに来てようやく被告人の声がハッキリと聞こえてきた。

 「私は野狐丸ではない!! スクィーラだ!!!」

 「スクィーラ!?」

 四四八は驚愕した。それと同時に朧気だった光景がハッキリとしたものに変わっていった。そう、これはスクィーラが何らかの裁判にかけられている光景だ。

 「ほう? 我等が与えた崇高な名をいらないと申すか!?」

 「死ね! バケネズミめ!」

 「町を裏切ったケダモノがぁ!!」

 「よくも俺たちの仲間を殺してくれたな!!」

 スクィーラが叫ぶと同時に傍聴席から怒声が飛んでくる。

 「町を裏切った? 反乱? どういうことだ……? まさか……?」

 四四八はスクィーラの過去の背景がようやく掴めてきた気がした。

 そう、スクィーラは傍聴席の者達に対して反乱を起こした罪で捕らえられ、裁判に掛けられているのだ。

 スクィーラの持っていた人間への不信感、自分の姿形それらの感情はここから来ていたのだろうか?


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