〜IF〜 分岐する未来
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る。
撃てない。撃てるわけなかった。
「終わりだ!」
男がそう叫び男が手に持つ銃で俺を撃とうとした時、男の拘束がわずかに緩んだ彼女は男と俺の間に、直接線に飛び出した。
そして撃たれた。俺の目の前で。
俺は怒りのあまり男の眉間と左胸の二箇所を放った2発の銃弾で撃ち抜き殺した。
外しはしなかった。昔から射撃はちょくちょくやらされていたから得意だった。
人間を撃ったのはこれがはじめてだったけど。
彼女に駆け寄ると彼女の胸からは血が流れていた。止まらない。流れつづける血液。染まる紅い色。
俺は自分を攻めた。もっと早く撃っていれば。力があれば彼女を救えたのにと。
血を流し続けているのにもかかわらず彼女は俺に微笑んだ。
笑っていた。
死が近いはずなのに微笑んでくれたんだ。
今思えば彼女が俺を安心させる為にしてくれたんだろう。
死が怖いはずなのに『わずかな勇気』をだして。
だけど当時の俺は気づけなかった。
それどころかこう思っていた。
やめてくれ。そんな顔を俺に向けんな。
俺には君に微笑んでもらえるような資格はないんだ。
そう思った俺は無意識の内に手に持つ銃を自身の額に向けていた。
トリガーを引く直前、彼女の顔が見えた。彼女は泣いていた。俺は彼女を最期の最期で泣かしてしまった。
さっきまであんなに微笑んでいた彼女を泣かしてしまったんだ。
ガチャッと音がし振り向くと。
俺が殺したはずの男が立ち上がっていた。
眉間と胸からは血が流れている。
最期の悪あがきだったんだろう。
俺は抵抗するのを放棄した。
俺は逃げたんだ。
死にたかった。彼女と娘を守れなかった情けない男だった俺は彼女の『わずかな勇気』を踏みにじって『死』に逃げた。
人として『最低な行い』をした。
俺は男に撃たれ、そして気がつくと草原に寝ていた。
そして女神様と出会った。
これが俺が犯した『最低最悪な罪』と今までのいきさつだ。
「……ろ!」
声が聞こえる。
「…きろ!」
またあの夢か?
一体いつまで見続けるんだろう。
終わらない悪夢。繰り返される絶望。
夢なら早く覚めろ。そう思っていると。
「起きんか!」
ゴンッと脳天に強烈な衝撃を受ける。
この痛みを生み出せるのは…。
「……痛ぇな!
普通に起こせ、馬鹿吸血鬼??」
俺が文句を言うと。案の定。
「ほう。師匠を馬鹿呼ばわりとは随分といい身分だな。オイ」
目つきの悪い目をより悪くしている雪姫が俺が寝かされているベッドの側に立ち俺の顔を覗きこんでいた。
「随分と愉快な夢を見ていたようだな?」
ちっとも愉快じゃねぇよ。
「最初、デレデレだったではないか」
げ?ま、まさか彼女に告白されたシーンを見られた?
そう
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