第17話 届け、あの空に
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自信満々に月を壊すを明言したエルザに、村人は期待に胸を躍らせていた
「目の前で見られるのか、月が壊れるのを」
「やっと元の姿に戻れるんだ」
村人全員がナツとエルザがいる見張り台を見上げていた。
「エルザ、月を壊すなら遺跡の方がいいんじゃね?ここより高いし」
「十分だ。それに遺跡へは村人は近づけんからな」
「月を壊すって・・・さすがのエルザでもそれは無理・・・だよな?」
「な、何をするつもりだろ・・・」
「ドキドキするね」
「いろんな意味でね」
グレイとルーシィも不安げにナツ達を見上げていた
エルザが換装した鎧は、巨人の鎧
投擲能力を上げる効果を持っている
そして、投げるものは破邪の槍
あらゆる闇を退ける聖なる槍だ
「それを投げて月を壊すのか!すっげー!!」
((イヤイヤ・・・無理だから))
「それだけではあそこまで届かんだろう。だからお前の火力でブーストしたい」
「?」
「石突きを思いっきり殴るんだ。巨人の鎧の投擲力とお前の火力を合わせて月を壊す」
「おし!わかった!!」
「二人とも何であんなにノリノリなんだよ」
「まさか本当に月が壊れたりしないよね・・・」
不安が更に高まる二人を見て、ラストは静かににやついた
そして
「おらぁ!!!」
ナツが、破邪の槍の石突きを火竜の鉄拳で殴り
「届けぇぇぇぇぇぇ!!!」
破邪の槍は、月に目がけて飛んで行った
そして
月に亀裂が走る
「「「おおぉぉぉぉ!!!」」」
「「ウソだぁぁぁぁぁ!!!?」」
あまりの事に叫ぶルーシィとグレイ
その亀裂は月全体まで広がり
その亀裂は、月からはみ出し空まで広がる
「え!?」
そして、亀裂がガラスの様に割れて、紫だった月が白く輝く月に変わった。
「月!?」
「割れたのは月じゃない・・・空が割れた・・・!?」
だんだんと空が割れていき、綺麗な夜空がその姿を露わにしていった
「どうなってんだコレ!?」
「この島は邪気の膜で覆われていたんだ。」
「膜?」
ハッピーの疑問に、ラストが答えた。
「月の雫で生じた魔力ガスが結晶化して空に膜を張っていたんだ。だから月は紫に見えていたんだ」
膜が完全に消滅した後、村人達が眩く輝きだす
「邪気の膜は破れ・・・この島は本来の輝きを取り戻す。」
全員が、人間に戻れることを期待していた
しかし・・・
「あれ?」
「元に戻らねえのか?」
その姿は悪魔のままだった
「いや、これで元通りだ。邪気の膜は彼等の姿ではなく彼らの記憶を冒していたのだ。」
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