第1章 双子の兄妹
1-2 兄妹
兄妹
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ールに大騒ぎしている姿を目の当たりにした。
学校の部員たちの荷物を並べ直していたマユミの背後から声がした。
「今日も凄かったよね、マユミ」
そして駆け寄ってきた美穂がマユミの背中をばしばし叩きながら興奮したように飛び跳ねた。
「ちょ、ちょっと、痛いんだけど、美穂」マユミは遠慮なく迷惑そうな顔をして、美穂の腕を払いのけた。
美穂は構わず言った。「もう、最高じゃん、ケンジ君。あたしコクろうかな、真剣」
「な、なんでケン兄がそんなに……」
横から別の部員が言った。「だってそうじゃない、最高のイケメンだし、身体つきもかっこいいし」
「そうそう」美穂だった。「他の男に比べて、ごりごりのマッチョでもないし、バランスいいよね」
「それにさ、あたし会場の入り口でおばあちゃんの荷物持ってあげてるケンジ君、見たよ」
「あたしも、」違う部員が首を突っ込んできた。「ゴーグル落として気づかないで歩いてたよその男子生徒に、それを拾って手渡してた」
「誰でもするよ、そんな事」マユミが恥ずかしげに言った。
「違うって、その時ケンジ君、ちゃんと両手で差し出して、にこにこしながら『お疲れ、次のレースもがんばって』って言ってた」
「すごいよね、敵のしかも男子なのに、そんな言葉かけができるんだから」
「親切だけど媚びないし、優勝しても威張らないし、」
「そうそう、メダル掛けてもらう時の、少し赤くなってはにかんだような顔と態度、もうめちゃめちゃ胸キュンだよー!」
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マユミはそう言って騒ぐ部員たちを見ながら、自分の双子の兄が女のコに人気がある理由が今さらながらわかったような気がした。
美穂がにこにこ笑いながら言った。「マユミ、」
「え? なに?」
「あんた本当に幸せだね、あんな男のコと一つ屋根の下で暮らせるなんて」
「な、何言ってるんだよ。兄妹だから当然でしょ」
美穂は心底羨ましそうに言った。「贅沢だよ。あたしたちが簡単にできない事、あんたにはできるんだから」
「か、簡単にできない事?」
「一緒に話したり食事したり、プレゼントあげたり……」
「あたしケン兄にプレゼントなんかした事ないよ」
「それ以上の事、できるじゃん。それにもし、あんたがその気になればハグしてもらったりキスしてもらったりもできるんじゃない?」
美穂は悪戯っぽく笑った。
「無理無理無理!」マユミは耳まで真っ赤になって大声を出した。
美穂はにわかに声を落とし、冷静に抑揚を抑えた口調で言った。
「何よ、わかってるよ、そんな事。兄妹なんだから、あんたとケンジ君。冗談だから。そんな力一杯否定すると、まるであんたがケンジ君に気があるのかも、って勘違いしちゃうでしょ」
マユミは顔を赤くしてまま黙り込んだ。
「ケンジ君だったらアキ
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