第1章 双子の兄妹
1-2 兄妹
兄妹
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。ゆったりとした裾の短いTシャツの大きく開いた襟の奥に、ブラに包まれた彼女の大きなバストの谷間がちらりと見えた。ケンジは慌てて目をそらし、自分の胸を手で押さえた。図らずも鼓動は速く大きくなっていて、彼はそれを必死で落ち着かせようと焦った。
しばらく沈黙の時が流れた。
「その先輩にされたのって、それだけ……だったのか? マユ」
「……うん」
「いやだった……んだな」ケンジは紅茶を一口飲んだ。「で、でも良かったな、それだけで済んで」
マユミは顔を上げて、ケンジを睨むような目で見た。
「男のコって、みんなそうなの?」
「えっ?!」
「高校生の男子って、みんなそんな事したい、って思ってるわけ? チャンスがあったら、女のコの身体に触りたいって」
ケンジはまるで自分が責められているような気がして、身体を固くしてうつむいた。
マユミは自分が発した言葉の熱さと鋭さにいささかたじろいで、思わず息を呑み、慌てて続けた。「あっ……、ご、ごめん、ケン兄。あたし、ケン兄を責めてるわけじゃなくて……」
「わ、わかってる」
「あたしの事、心配してくれてるのに、きつい態度だったね……ごめん……」
「無理もないよ。それだけショックだったんだろ? マユ」
「う、うん……」
「初めてのデートでそんな事されたら、やっぱりショックだろうな、女のコは……」
マユミはティーポットからケンジのカップに紅茶をつぎ足した。「ケン兄には、彼女がいるの?」
ケンジは意表を突かれて身体を一瞬小さくびくつかせた。
「つき合ってる子、いるの?」
「い、いないよ」
「ほんとに? だって、ケン兄モテモテなんでしょ?」
「し、知らないよ、そんなの」ケンジは顔を赤らめ、マユミから目をそらした。
「あたしの学校の部活の友だちもみんな言ってるよ、ケンジ君素敵だ、って」
「な、なんでそんな事……」
「それにケン兄、学校でも、もう何人もの女子に告白されてるんでしょ? 噂はあたしの学校まで届いてるよ」
「な、何人ものって……お、大げさだよ」
事実、ケンジは所属している部活のみならず、他のクラス、他の学年の女子生徒からもほぼ毎月のように告白まがいの行為を受けていた。
「いるの? 彼女」
「い、いないってば」
「じゃあさ、どうなの? もし彼女ができたら、一刻も早く抱いたりキスしたいって思ったりする?」
「い、一刻も早くって……」ケンジは思いきり困ったように顔を歪めた。「そ、そりゃあ、俺だってオトコだし、そんな気になるかも……知れないけど」
「やっぱり?」
マユミが少しがっかりしたように肩を落としたのを見て、ケンジは慌てて付け加えた。「で、でも、俺は相手の気持ちを確かめずに、そんな事しないぞ」
「ほんとに?」
「だ、だって、
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