第1章 双子の兄妹
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兄妹
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時彼女の白くて柔らかそうな肌に目が釘付けになってしまったのだった。その身体つきは、あのグラビアのモデルによく似ていた。ショートカットで幼さが残る髪、豊かな胸の膨らみ、腰のくびれ……。
双子の兄妹なので、小さい頃から例えば入浴も一緒だった。しかしそれも小学校5年生までで、当時のマユミとは全く別人のような艶っぽい部屋の中のその姿に、ケンジの呼吸は自然と荒くなり、股間も熱を帯びていった。ケンジは焦って部屋に駆け込んだのだった。
「おまえさ、最近元気ないけど、何かあったのか?」
唐突にケンジが言ったので、マユミは、つまみ上げたチョコレートを思わず取り落としてしまった。
「え?」
「明らかに落ち込んでるように見えるけど」
「……」
マユミは落としたチョコレートを箱に戻した。
「ケン兄……心配してくれるんだね」
「そ、そりゃそうだ。当たり前だろ、兄妹なんだから」ケンジは顔を赤くして焦ったように言った。
「そうだね、兄妹だもんね。ごめんね、ありがとう……」
マユミの眼に涙が滲んだ。
「お、俺で良ければさ、話してみろよ。話せばすっきりする事だってあるだろ」
ケンジの優しい声を聴いて、マユミの眼に溜まった涙がぽとりと落ちた。
「マユ……」
マユミは決心したように顔を上げた。「ケン兄」
ケンジはぎこちない微笑みを返した「どうしたんだ?」
「あたし……あたしね、先輩に抱きつかれた……」
「えっ?! だ、抱きつかれた?」
マユミはコクンと頷いた。
「い、いつ?」
「昨日」
「そ、その先輩って?」
「うん。つき合ってた先輩……」
「お、おまえ彼氏がいたのか?」
「彼氏……って言うか……」マユミは言葉を濁した。
「で? 何されたんだ? 抱きつかれただけだったのか?」
ケンジは少し興奮気味にマユミに訊いた。
「メールではよく話してたけど、リアルにはあんまり会ってなかった。先輩部活で忙しい人だから。だから『彼氏』って言う程の関係じゃなかった……ってあたし、思ってた」
「そ、それで、昨日、おまえ……」
「初めて街でデートして、先輩の家に呼ばれて、部屋で……」
マユミは言葉を詰まらせ、唇を噛みしめた。
「ら、乱暴されたのか? ま、まさか、む、無理矢理……」
ケンジは身を乗り出し、顔を赤くして声を荒げた。
マユミは指で涙を拭い、寂しそうに微笑んでケンジを見た。「ううん。服脱がされたりしたわけじゃないんだ。いきなり抱きつかれて、その……」
ケンジは固唾を呑んでマユミの次の言葉を待った。
「む、胸に触られた……」
またマユミの眼から涙がぽろぽろとこぼれた。
「む、胸に……」ケンジはようやくそれだけ言って、腰を浮かせたまま固まった。
彼はうつむいたままのマユミの胸元を見た
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