暁 〜小説投稿サイト〜
エンジェルボイス
第三章

[8]前話 [2]次話

第三章

 徹はだ。彼女のその外見にも惚れたというのであった。そしてこんなことを言った。
「それですぐにな」
「すぐに?」
「すぐにって何だよ」
「何したんだよ」
「告白したよ」
 単刀直入であった。一直線である。
「そうしたらな」
「そうしたらって」
「もうか」
「もう言ったのかよ」
「そこまでいったのかよ」
「そうなんだよ。それでな」
 さらにだ。彼はさらに話す。
「オッケーしてくれたよ」
「おいおい、いいってのか」
「了承してくれたのかよ」
「凄い展開だな」
「それでよしってなるなんてな」
「何でも彼女もフリーらしくてな」
 徹にとっては幸運なことにだ。そうだったというのだ。
「俺のその告白受けてくれたよ」
「まあ。悪い奴じゃないしな」
「だからか」
「それでよし、か」
「運のいい奴だ」
「全くだよ」
 皆呆れながらもその彼を祝福した。そうしてだった。
 徹は理恵と交際することになった。勿論理恵は放送部を続けている。彼女のその声を聞いてだ。彼は常に奮い立った。
 それでだ。そのピッチングやプレイ全体がだ。
「おいおい、凄いな」
「何か能力あがってきてるな」
「ボールが走ってるな」
「球威も凄くなったよ」
「一段とよくなったな」
 奮い立った結果だ。そうなっているのだ。
「全部あの娘のお陰か」
「あの娘の声を聞いて交際してな」
「よくなったな」
「全くだよ」
 徹にとってもだ。野球部にとっても最高の展開だった。彼は部活以外の時も常に理恵と共にいてだ。その声を聞くのだった。
 そして常ににこにことしている。そんな中でだ。
 野球部といえば甲子園である。その甲子園を目指し誰もが戦っている。それは彼の高校の野球部も同じでだ。徹はその中で投げていた。
 まさに力投だった。試合には順調に勝ち進みだ。遂に甲子園出場がかかっている試合にまで進んだ。県大会の決勝である。
「これに勝ったらな」
「ああ、甲子園だな」
「遂にな」
「出られるぞ」
「この試合に勝てば」
 こう話してだ。彼等はだ。
 その決勝戦に向かおうとする。だが、だった。
 徹に異変が起こった。彼は暗い顔になっていた。それを見て野球部の仲間達は唖然となった。明らかに彼のコンディションは最悪だった。
「な、何だ!?」
「御前どうしたんだよ!」
「風邪か!?」
「馬鹿は風邪引かないだろ!」
「いや、風邪じゃない」
 沈みきった声でだ。こう答える彼だった。
「ただな」
「ただ?」
「ただっていうと何だ?」
「何があったんだよ、本当に」
「まさか理恵ちゃんと喧嘩したか?」
「喧嘩はしてない」
 それは否定する彼だった。だがその声は沈んだままだ。

[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ