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相州戦神館學園 八命陣×新世界より  邯鄲の世界より
第3話 仲間という存在
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 唯一人間との共通点は、二足歩行すること、人間に比肩する知力、言葉を話すことだけ。

 人間などと認めてくれるのを期待などしていない。余りにも人間とは遠すぎる肉体に改造されたバケネズミを見て人間と同胞だという方が無理な話だ。

 柊四四八を含む七人の生徒。あの七人はことに自分を気にかけてくれている存在だ。しかし心配をしてくれるのも、気にかけてくれるのも自分が彼等と同じ人間の姿形をしているかだ。

 彼等が決して悪い人間でないことは分かる。しかし本来の自分の姿をあの七人に見せればどんな反応をするだろうか? 掌を返した態度を取り、自分を
バケモノと罵るだろう。

 本当の自分の姿をしながら、あの者達と信頼関係を築くなど土台無理な話だ。怪物のような姿形の存在など所詮は怪物としか見られない。

 自分達をこんな姿に改造した者達もそれを見越した上でやったことだろう。

 「こんな姿で……、仲間など出来るものかぁ!!」

 叫んだ。ただそう叫びたかった。自分の目からは熱い液体が流れてくるのを感じる。偽りの姿で信頼関係を築けてもそれを本当の信頼と呼べるだろうか?

 醜い本来の姿を見て、それでも信頼関係を結べるということが有り得るのだろうか……?

 「ありえない! 絶対にありえない! 私は……、私は所詮人間とは違うケダモだ! こんなケダモノを仲間として見てくれる存在がどこにいるのだ!?」

 スクィーラは自分の全身を映す鏡を拳で殴りつけて割った。

 「一皮剥けば彼等も同じだ! あの神栖66町の連中のように私をケダモノと見做すだろう!」

 毎夜、スクィーラは全身鏡に本当の自分の姿を映し、自分自身の本来の姿を見るのが日課になっていた。自由に人間の姿とバケネズミの姿になれるが、人間の姿
は偽りの姿に他ならなかった。

 人間と同等と見てくれることなど期待はしていなかった。本当の姿を曝け出せばどんな人間だとて眉を潜め、自分をバケモノの類だと見做すだろう。

 人間の姿に戻ったスクィーラは戦真館の制服に着替えると、校庭に向かった。毎夜の自己鍛錬は気分を紛らわせてくれるのだ。

 校庭に来たスクィーラはいつものように鍛錬を始めようとすると、不意に後ろから声が掛かった。

 「塩屋くん」

 後ろを振り向くと、そこには柊四四八の仲間である世良水希が立っていた。

 「世良さん……。何しに来たんですか?」

 「えっと……、塩屋くんのことが気になって」

 「放っておいて下さい……」

 気にかけてくれるのも、心配をしてくれるのも全ては偽りのこの肉体だからこそだ。本来の自分の姿を晒せば反応は神栖66町の連中と変わらないだろう。

 「塩屋くん……、人間じゃないんだね」

 「え……?
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