第1章 双子の兄妹
1-1 無防備
無防備
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?」
「何が?」
「エッチの時よ。やっぱり気持ちいいの?」
「うーん……」
ユカリは目を閉じて腕組みをしたまま唸った。
「気持ちいいわけじゃ……ないんだ」美穂は、がっかりしたように言った。
「今は、なんとなく気持ちいいかも」
「何よ、それ、そんなもんなの? なんか期待外れなんだけど」
「初めて彼に入れられた時は、もうめちゃめちゃ痛かった」
マユミは、ストローを咥えたまま顔を赤くして上目遣いでそっとユカリを見た。
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「そ、そんなに?」美穂は目を見開いて声を震わせた。
「何て言うか、無理矢理ねじ込まれる、って言うか、突っ込まれるって言うか……」
「何だか怖い……」
「あたしもめっちゃ怖かったもん。でも、大好きな彼だから我慢した」
「そ、そんなの不公平じゃん」美穂が納得できないように声を荒げた。「オトコって、出せば気持ちいいんでしょ? いつでも。それなのに、なんでオンナだけそんな怖くて痛い目に遭わなきゃいけないわけっ?」
「しょうがないじゃん。そんなもんだって。その彼の事が好きなら我慢しなきゃ。痛い痛いって大騒ぎしたら、もう抱いてくれないよ。二度と」ユカリは肩をすくめて、最後に残ったポテトをつまみ上げた。
「あっ! あたしの最後のポテト!」美穂が慌てた。
「何言ってるの、今日は全部割り勘じゃん」
マユミは溶けてぬるくなってしまったシェイクをようやく飲み干して、ふうっと、長いため息をついた。
◆
明くる日の午後1時半過ぎ、前日と同じファーストフード店の一番奥の二人掛けテーブルに、壁を背にして座っていたマユミは、自分の名を呼ばれて顔を上げた。いつの間にか目の前に爽やかな笑顔をたたえたアキラが片手を小さく挙げて立っていた。
「よっ。待った? マユミちゃん」
アキラは大きなエナメルバッグを肩から床に下ろすと、マユミの前の椅子に腰掛けた。
「今来たばかりです」マユミは少し引きつった笑顔で応え、落ち着かないように周囲を見回した。
「そう。良かった。さっき部活終わったんだ」
よく見ると、確かにアキラは爽やかなイケメンだった。日焼けした顔に、口元から覗く白い歯。高校生のみならず、中学生の女子まで、サッカーの試合を見に来てはきゃーきゃー言って追っかけ回したくなるのもわかる気がした。
マユミの心に、少しばかりの優越感が芽生えた。
「ねえ、マユミちゃん」
チーズバーガー二個とチキンナゲット一箱、ポテトもコーラもLサイズ。それをあっという間に平らげて、アキラはテーブルに肘を突いてマユミの顔を覗き込んだ。
「は、はい」マユミは背を丸めて期間限定チョコ増量ココアシェイクのストローから口を離して目を上げた。
「俺の家においでよ」
「え?」
「だって、俺、部活帰
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