第1章 双子の兄妹
1-1 無防備
無防備
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ていたので、土日は決まって試合か練習が入っていて、二人が実際に会ったりする事は今まで皆無だった。
昼過ぎに部活が終わり、マユミは数人の友人と一緒に街のファーストフード店でランチタイムを過ごしていた。
「マユミ、あんたアキラ君とはうまくいってるの?」ハンバーガーの包みを広げながらユカリが言った。
マユミはココアシェイクのストローを咥えたまま、小さく首を横に振った。
「え? もう破局したの?」ユカリの隣にいた美穂が、ビックリしたような顔をした。
ストローから口を離して、マユミは呟くように言った。
「別に別れたわけじゃないけど……」
「じゃあ何よ、何がうまくいってないっての?」
「どうやってつき合ったらいいのかわからないんだ」
「デートとかしないの?」そう言ってユカリはハンバーガーにかぶりついた。
「明日」
「え?」美穂がまたビックリしたような顔をマユミに向けた。「明日? デートするの?」
「うん」
「何それ……」美穂は呆れたように眉を寄せて、テーブルの真ん中に広げられていたポテトに手を伸ばした。
「あんまり嬉しそうじゃないね」
ユカリがマユミに向かって身を乗り出し、諭すような口調で言った。
「マユミ、あんたさ、思春期真っ盛り男子とつき合ってるからには、覚悟はできてるんだよね?」
マユミは目を上げた。「覚悟?」
「そう。男のコがデートに誘って、それをOKするって事は、最後までいっちゃう可能性がびょーんて高くなるって事だよ?」
「さ、最後まで?」
「そうそう」美穂も同じようにマユミに迫った。「きっとアキラ君、あんたとエッチできるって思ってるよ」
「な、何よそれ! あたしそんな事まで望んでない!」
「いやいや、」ユカリが手を目の前でひらひらさせた。「甘いね」
「嫌いなわけじゃないんでしょ? マユミ」美穂が微笑みながら言った。
「嫌いじゃないけど、好きなのかな……」
「自分の事でしょ?」
「でも、まあ、あの紳士なアキラ先輩の事だし、いきなりオオカミになる事は……ないかな」
ユカリはそう言いながらハンバーガーを頬張った。
「そうだね。初めてのデートなんでしょ? マユミ」
「う、うん……」マユミはばつが悪そうにうつむいて、またストローを咥えた。
「初デートでいきなり襲いかかったりはしないか」美穂はポテトを口に入れた。
しばらく黙ったまま、マユミは期間限定チョコ増量ココアシェイクのカップに刺さったストローをぐりぐりと回してみたりした。
「そうそう、ねえ、ユカリ」美穂が声を落として隣のユカリに声を掛けた。
「何?」
「あんた、彼とはもう深い仲なんでしょ?」
「そうだけど」ユカリはさらっと言って、包みに残ったピクルスのかけらを手でつまみ上げて口に入れた。
「ど、どんな感じ
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