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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
34.洋上の慮外
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していく。それでも思い出すのを身体は拒む。
耐えきれなくなった身体が膝から崩れ落ちていく。
「彩斗君……!」
微かに聞こえた友妃の声がギリギリで彩斗の身体を持ち直させる。
「いいねえ……」
わずかに口角を吊り上げて笑う。
そのときだった。金髪の少年が右手に持っていたメスを投げた。
銀の輝きを放つメスが空を切り裂き一直線に夏音の方へと進んでいく。
この距離では弾くこともできない。彩斗にできるのは、夏音の代わりにその攻撃を受けることだけだった。
あの程度の刃では、“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の肉体へダメージを与えることなどできない。例え、メスに“雪霞狼”や“夢幻龍”のような魔力を無効化する呪術が組み込まれていたとしてもあの大きさなら然程のダメージにもならない。
夏音を守るように彩斗は飛んでくるメスの前に立ちはだかった。
銀の刃が左胸の肉へと深々と突き刺さる。
「グァ……ッ!?」
彩斗が苦痛に歪んだ声を洩らした。
身体からなにかが抜けていくような感覚が襲いかかる。魔力がメスの中に吸収されていく。それもとてつもない膨大な量の魔力の塊が無理やりメスへと抜き取られていく。
魔力を奪われた身体に支えられる力など残っているわけもなく彩斗は膝から崩れ落ちていく。
「彩斗さん……!」
「彩斗君!」
誰かの声が聞こえたような気がする。
かすれる視界に銀髪の少女の涙声で倒れた彩斗に何度も呼びかけてくる。
その声さえも徐々に薄れていき、彩斗の意識は完全にこの世界から断絶された。
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