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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
34.洋上の慮外
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間を詰めこめ……いえ、乗りこめるようにしました。巡航速度は時速三千四百キロメートル。計算によれば百五秒で目的地に直撃……いえ、到達します』
「おい! ちょこちょこ詰めこむとか直撃とか言ってんじゃねぇか!?」
彩斗は叫ぶ。時速三千四百キロメートルは、計算すると約マッハ二・八。
「時間がない。早くしろ。せっかくの王女の好意を無駄にするな」
ビビりまくる彩斗と古城の背中を、那月が突き飛ばす。
「好意じゃなくて悪意の間違いだろ、くそ……!」
「あとで覚えてろよな、ラ・フォリア」
ラ・フォリアへと少し恨む視線を向ける。一方でニーナは、テンションが上がっている。不滅の液体金属生命体である彼女は、ミサイルの中に詰めこまれても、別にどうということはない。もちろん不死身の吸血鬼も問題はない。
『夏音のことを、頼みます。彩斗、古城』
最後の最後に、ラ・フォリアが真剣な眼差しを向けてきた彼女の碧い瞳を見つめ返して、古城は強くうなずいた。
「ああ、あのクソ野郎とっととぶっ飛ばしてくるよ」
彩斗と古城は飛行機のほうへと歩き出す。
「ちょっとお待ち、第四真祖の坊や」
意外な声が古城を呼んだ。雪菜と友妃の師匠が操る使い魔──骨董品店にいた猫の声だ。
「ニャンコ先生!?」
声がした方角に視線を向ける。
駐機スポットに走り込んできた連絡車両のから、煌坂紗矢華の顔をした少女が降りてくる。メイド服を着た彼女の肩には、黒猫がちょこんと乗っていた。そして少女の背中には、黒いギターケースが背負われている。
「ニャンコ先生……式神も直ったのか」
そう言って古城が駆け寄っていく。
だが、駐機スポットにあったわずかなアスファルトの盛り上がりに引っかかり、体勢を崩す。倒れそうになった古城は少女の胸を鷲掴みにする形で体勢を立て直す。
「ひゃっ!?」
「え!?」
その悲鳴は式神のものではなかった。
明らかに煌坂紗矢華本人のものだった。
「あのバカは……」
紗矢華は古城の顎さっきにアッパーを叩き込む。
『あらあら……』
モニタの中のラ・フォリアが愉しそうに笑っている。
本当この王女様はお腹がお黒いことで。
彩斗、とラ・フォリアは少し小さめの声で呼ぶ。
「ん? どうした?」
『いえ、わたしの気のせいなら良いのですが、少し嫌な気配を感じるのです』
ラ・フォリアがここまでいうということはなにかあるのだろうか。
だが、彩斗の中に住まうものたちはなにも反応していない。
「大丈夫だろ。そんなに心配しなくても」
『……そうですね。わたしの考えすぎですね』
ラ・フォリアがいつもの笑みを浮かべる。し
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