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ジオン独立戦争記〜名もなき兵士たちの転戦記
1.エルネスト・ルツ中佐編
第2話:グラナダ降下作戦
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反作用を利用しているものである。
この存在がモビルスーツを優秀な兵器へと押し上げた要素の1つである。
反面、その体内を血管のようにめぐる油圧配管が切断され作動流体が失われれば
無重力・真空の宇宙空間で姿勢制御が不可能になってしまう。
これは兵器としては致命的な欠陥である。

その弱点を補うために、作動流体のリークを検知するとその部位へと流れ込む
配管を自動的に閉じることで作動流体の流失を防ぐ機能が備わっている。
シェンクの言った緊急用バルブとはそのためのものだが、今回はどこにも損傷が
無いにもかかわらずこのバルブが作動してしまったのである。

「なら、緊急用バルブが誤作動した原因は?」

「そこまでは判ってません。 ただ、中尉のザクのシステムログを確認したんですが
 バルブを閉める信号が出てないので、バルブの機械的な故障だと思います」

ルツからの再度の質問にシェンクは小脇に抱えていたバインダーに挟んでいる
書類に目を通しながら答える。
するとルツは納得顔で頷いた。

「ってことは再発はほぼ無さそうってことか。 緊急用バルブが勝手に閉まった
 って話はあんまり聞かねえもんな」

「ですね。 外したバルブは戦闘が終わったらジオニック社に送って
 調査してもらいますけど、おそらくは製造ばらつきの問題だと思います」

「了解だ。 って、もうこんな時間か。 俺は晩飯にするけど、
 たまには一緒にどうだ?」

シェンクを夕食に誘うルツであったが、シェンクは済まなそうにしながら
首を横に振った。

「ありがとうございます。 でも、センサー周りをもう一度確認しておきたいんで、
 遠慮させてもらいます」

「そうか。 まあ、あんまり根を詰めんなよ。 お前さんの腕は信用してっから」

「はい。 お気づかいありがとうございます、中尉」

自分に向かって頭を下げるシェンクに手を振ると、ルツは床を蹴って
格納庫から食堂に向かった。





翌日、ルツは起床合図とともに目を覚ました。
普段通りに朝食をとり、顔を洗って、歯を磨き、髭を剃る。
唯一、普段とは違って軍服ではなくノーマルスーツに着替えると
モビルスーツパイロットの待機室へと向かった。

艦内は普段よりも慌ただしく、通路を行く人々の顔にも余裕は感じられない。
ルツが待機室に入ると、5人ほどのノーマルスーツ姿のパイロットが集まっていた。

「おはよう、ルツ」

ルツが声のした方に目を向けると、そこには茶色い髪を短く刈りそろえた男が
笑みを浮かべて立っていた。

「ん、ベルゼンか。 おはよう」

その男はベルゼン中尉といい、ルツとは士官学校の同期で、ルツと同じく
コリオランのモビルスーツ小隊長を務め
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