暁 〜小説投稿サイト〜
無欠の刃
下忍編
ファーストキス
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 新しい下忍の班が紹介されるまでの間、待たされている、いつものアカデミーの教室で、カトナは若干うつむきがちになりそうな顔を上げながら、横にいるサスケの顔色を窺った。
 サスケはむすりと頬を膨らませ、カトナに全く視線を合わせようとしない。その様子に内心で困り果てながらも、カトナは必死にはなしかける。

「サスケ、あの、ね…」
「俺はお前のことはもう知らねぇ」

 が、サスケのつれない態度は崩れることはなく…、平行線をたどる会話にどうしてこうなったと、カトナは頭を抱えた。
 事の始まりは、昨日にさかのぼる。
 昨夜、寝ずの看病…と言うわけではないが、殆どつきっきりで看病していてくれたサスケが、トイレに行くと言って、目を少し離した瞬間、カトナは脱走した。
 ナルトが巻物を盗んで何処かに行ったという情報を、暗部の人間が囁いているのを、優れた聴覚でとらえてしまい、彼女はいてもたってもいられなくてその場から逃げた。
 すぐに帰ってくつもりだったので書置きも何もしなかった。そんなことしなくても、サスケならば自分の意思を分かってくれるだろう―なんて、そんな自分勝手な思いに従って脱走したのだ。
 当然、サスケは心配して、カトナが知らないところで、一晩中里の中を駆け回っていてくれたらしい。それこそ、里の端から端まで。カトナ達とすれ違いで森にまで行ってくれたらしいので、そこまでしてくれたことには、頭が下がる思いである。
 が、その時のカトナは全くそのことに気が付かず、呑気にもナルトと一緒に一楽のラーメンをイルカ先生におごってもらい、食しての帰り道に、彼と遭遇し、怒鳴られた。

 「なんで、勝手に出ていくんだよ、このバカが―!!」

 いつもの数倍血相を変えて、激怒した顔で、サスケはそう怒鳴りつけた。見慣れないそのサスケに、カトナはぽかんと呆気にとられてしまって、慌てて謝罪したけれど、サスケの機嫌は直らなかった。
 むしろ、治らなくて当然だと思う。
 いきなり、何の書置きもなく病人が外に飛び出せば、心配するだろうし、心配した相手が呑気にもラーメンを教師におごってもらっていたとなれば、その怒りは当然なものだ。
 何よりも…彼のトラウマを思い出させてしまったのだ。
 その怒りは相当なものだったのだろう。

 「兄さんみたいに、いなくなったって、思っただろうが!!」

 小さくそうやって声を漏らしたのが、耳に届いてしまった分、余計に彼が怒ってるのがわかってしまって、カトナは何もいえなくなってしまった。
 サスケの兄であるイタチは、突然消えたわけではない。一応、サスケと会って別れを告げて里を抜けていった。
 けれど、カトナが勝手に抜け出した状況は、イタチのことを思い出しても仕方ないような状況であったわけで…。

 なんで、あんな馬鹿な
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ