第四話 三
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入れた戦利品を電気の入っていない冷蔵庫に大雑把に押し込めたあとポリタンクの水を使って、雫の血で汚れた手を洗った。
まだ誰もお腹は減ってはおらず、リビングの机にある椅子に二人共座って、取り敢えず三人は休憩をする。
最初こそ、誰も一言も喋らずに黙っていたが、数分後。雫が最初に言葉を発した。
「明日、私はあいつの下へ向かう。今はまだ奴と戦う事に決心出来ていないが、明日には必ず覚悟を決めるから」
「てっきり、既に覚悟を決めていたと思っていたが」
「あぁ、私は奴と戦う事を恐れている。不老不死の身だから死ぬ事も出来ないしね…… 捕まってその後に何をされるか分からないからな…… きっと奴の事だから以前よりも酷い実験やらを私に試すだろうね」
「だが、明日には行くのだろ?」
「当然、これ以上長引くときっと奴は周りの人間を一人ずつ化け物へ変えていくだろう。新人類っとかのたまってね」
「もし仮にだが…… お前の代わりに誰かが奴を止めに向かう場合、お前はここに残ってくれるか?」
「いいや、残らない。ありがたい申し出だけどね」
彼女はそう微かに笑って首を振る。
アリスは彼らの会話が分かっていなかったのか、不思議そうに首を傾げていた。
それから数時間後。
アリスが眠っている真夜中にナナシは身体を起こすと、彼女の方へ近づき、アリスが起きないような声量で彼は、
「すまないアリス、早速約束を破る事になりそうだ…… ずっとお前の傍に居てやるっと約束を二日前にしたのだがどうやら守れそうにない。だが、何があっても必ずお前の下へ戻るよ。必ず」
ナナシはそう決意の篭った声でそう小さく眠っているアリスに向かって再び約束をすると、彼は一人で家へ出ようと玄関まで歩いた。
「お前は私まで置いていく気なのかい?」
すると、雫が突然彼へ話しかけ、ナナシは歩みを止めた。
「すまないがアリスを頼む、俺もあいつには元々因縁があるからな」
「君も間宮にやられた被害者だったのだな…… だが、それとこれとは別だ。私も奴には恨みがあるんだ、だから行く」
「アリスを一人残すわけには行かない、それに…… お前はアリスと仲良くやっていたからな、このまま一緒にいてあげて欲しい。例え、人間では無くてもだ」
「君に勝てる見込みがあるのか?」
「お前も不老不死だと言っても死なない保証があるのか? 相手はお前のような奴を作った研究者だ。きっと、お前を殺す事が出来る何かを既に作ってある筈だ」
「……」
「本当の事を教えよう、俺は…… アリスの兄で、俺と彼女の父を殺したのが間宮だ。それに、俺を実験体にして適合者を作り出したのも奴。あの狂った研究者なんだ。しかも、まだ記憶を失っている時にあいつによって目の前で仲間を殺し、アリスを絶望と悲しみへ叩き込ん
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