第四話 三
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… ところで、話を変えるが、君は良く悲鳴を上げないな。普通ならば泣き叫んでもおかしいかもしれないのに……」
「うん、だってナナシでなれちゃったから……って、あっ」
「彼で慣れた…… ? それは一体どういう事だい?」
「あー……」
話している時に、アリスは言葉を滑らせて本当の事を言いそうになり、雫からその事について追求されて困惑する。
ナナシはいずれ隠し事をしてもバレてしまうと考えていたから、いずれ本当の事を話すつもりでいたのでアリスの代わりに彼が真実を言った。
「済まないがお前に嘘を吐いていた事がある」
「嘘?」
「俺は本当は未来という男では無く、人間の皮を被った化け物なんだ。まあ、元が人間だったうえ、最近までは本当に記憶が無かったんだがな」
「君が化け物……? 適合者っという意味でなのかい? それとも…… 言葉、そのものの意味かい?」
「後者の方だ、今証拠を見せてやろう」
彼はそう言うと、腕から刃みたいな物を生やすと、それで自分の身体を裂く。
裂かれた身体から大量の血が噴水のように飛び出し、未来だった男の身体は崩れ落ち、その身体からナナシ本体が現れた。
彼の本当の姿があらわになった瞬間、雫は手に持っていた犬の死骸を落として、目を見開いて震える声で聞いた。
「なっ…… 何だその姿は……?」
「これが本当の俺だ」
「では、お前は未来では無いっというわけか………… 君達の境遇を考えたらまあ、私を騙すのも無理は無いと思うよ」
「理解が早くて助かる」
「色々聞きたい事があるが、立ち話をし続けるのも億劫だから一度あの建物へ戻ろう」
彼女はそう提案し、犬の死骸を再び持つ。
ナナシは雫の言葉に同意し、アリスと一緒に汲んだ水の入っているポリタンクを口で咥えて持つと、アリスを背中に乗せた。
すると、雫はその様子をじっと見て、それから
「狼に乗っているようで楽そうだな、私も乗っても良いかい? ちょっと私も疲れてね」
っと、何故か頬を少し染めてからナナシに頼んだ。
彼は無言で頷くと、彼女に「代わりに俺のポリタンクを持ってくれ、俺が犬の死体を持つ」っと言い、雫と持っている物を交換した。
「案外乗り心地が悪いな…… 固い」
「固くて悪かったな、一本足りとも毛が無いから諦めろ」
「なれたらあまりきにならなくなるよー」
「そうなのか?」
「……たぶん」
「君はまだ慣れてないのか」
「うん、でもあるくよりはずっとらくだからへいき!」
「まあ、それもそうだな」
そんな感じの会話を二人はしながら、歩くナナシに揺られる。
最初こそ雫は落ちそうになったが、やがて座るコツを掴んだのか、揺られたりしても態勢を崩すことが無くなった。
それから再びあの家へと戻り、手に
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