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絶望と人を喰らう者
第四話 三
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ティラの生存者達を自分と同じ化け物にさせないっという強い正義感を持っているみたいだから、多分だが説得は難しいだろう。

「うぅ、どうすればいいんだろ?」
「俺が彼女の代わりに行くっという方法があるのはあるが…… それをしたらアリスを長期間待たせてしまう可能性があるだろうな……」
「そ、それはぜったいだめ! ……あ!」

 彼女はナナシの提案を必死に拒否した時、何か頭の中でアイディアが降ったのだろうか、先程の不安そうな表情から一転して、顔を輝かせて彼に話した。

「ねぇ、それならわたしもつれてって! これならナナシとわかれないし、しずくちゃんともいっしょにいれるよ!」
「駄目だ、危険すぎる」
「そんなことないよ、ぜったいナナシのじゃまにならないようにかくれるから!」

 アリスは拳をギュッと握り、そう大きな声で訴えるもナナシは首を振って断る。

「アリス、今まで生き残れたのは正直奇跡でしかないんだ。街に入るだけなら人間が沢山居るし、きっと君を保護してくれるだろうが、きっと間宮…… 雫が倒そうとしている奴の下にお前も付いていこうとしているのだろ?」
「そ、そうだけど…… でも……」
「気持ちは分かるが、アリスを守る為なんだ」
「……」

 彼女は彼の言い分が分かり、ぐうの音も出ずに項垂れた。
 アリスは自分が弱く、何も出来ない守られるだけの存在だという事に今更気づき、その事により更に意気消沈する。
 そう、今までアリスはずっと守られてばかり居た。だから、自分が付いて来てもまた足でまといになって迷惑を掛けてしまう。そう思うと、「だからこそ、自分の力で少しでも力になりたい」なんて言葉は言えなかった。
 だが、ここで諦めてしまえばきっと、雫は死んでしまうだろう。たった一日か二日しか縁が無いとはいえ、友達になれるかもしれないアリスと同じくらい若い女の子が死ぬのは彼女は嫌だった。
 それに、死んでしまった結月や天羅のような悲しい結末にはしたくないからだ。

「何を項垂れてるんだい?」
「あ、雫ちゃん」

 彼女の声が聞こえ、そこへ顔を向けると、血まみれの姿でずたずたに引き裂かれた犬の死体を引き摺る雫の姿があった。
 何故か彼女の五本の指の爪が、まるでナイフのように鋭く伸びており、犬の血であろう赤い液体が付着していて、ぽとっぽとっと音を立てて地面に一滴ずつ落ちている。
 アリスはそんな彼女の姿を見て、一瞬ヒヤリとしたものを感じたがすぐに慣れて、彼女に今までナナシと自分が話をしていた顛末を細々と語った。

「そこまで想われる存在では無いがな、私は…… まあ、嬉しいけどね。 でも、化け物の私が君と友達になれる自信が無い」
「そんなことないよ、だって、いまでもふつうにおはなししてるし」
「言われてみればそうだが…
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