第四話 三
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チかカバンでも欲しいな、手と衣服のポケットだけだとかさばりそうだ」
彼はそう言うや、すぐにこの家の中にカバンが無いか、部屋を調べてタンス等を漁る。
すると、小さな子供用の黄色いカバンなら見つける事が出来た。
出来れば大人用が欲しいとは思ったが、これ以上何も無いと分かると、仕方なくそれを片手に二人の下へ戻る。
「こんなものしか無かった」
「まあ、無いよりマシだよ」
「もしよかったらありすがかばんをしょっていい? わたし、すこしでもおてつだいしたいな」
ナナシはアリスの申し出にすぐ頷くと、彼女にカバンを渡す。
カバンは丁度子供のアリスの身体にピッタリで、アリスの金髪と良く似た黄色のカバンは彼女にお似合いだ。
ナナシはいつか彼女の着ているボロボロになった服を、新しく傷の少ない、更にカバンが似合うような洋服を着せてあげたいものだっと心の中で思う。
「それでは行こうか」
彼はそう言うと、二人を連れて扉を開け、外の世界へと三人で出た。
ナナシ達三人の居た家からほんの数百メートル離れた場所、廃墟が建ち並んでいるこの場所の真ん中にぽつんっと置かれている丸い形の井戸を発見する。
「私は小動物でも捕まえに行ってくるよ」
「一人で大丈夫なのか?」
「うん、任せてくれ」
「しずくちゃん、ほんとうにだいじょうぶなの?」
「心配は要らないよ、大丈夫、すぐ戻るから」
雫はそうアリスに答えると、小さく手を振った後、別の場所へと歩いて行った。
アリスより少し背が高いぐらいの彼女が、一人で小動物とは言え素手で狩りに出かけるというのはどう考えてもおかしい。
多分、適合者と同じような能力を持っているのだろうが、ナナシは一応保険にと彼女へ拳銃を手渡した。
「これを使え、きっと役に立つかもしれん」
「まあ、遠くに居る動物を殺すのに使えるかもしれないね、ありがとう」
それから少しして。
ナナシとアリスは二人でロープを括りつけたバケツを使って地下水を汲み取っていく。
汲み取った水をあらかじめ道中で手に入れたポリタンクに入れていると、アリスが「あの……」っと言って、ナナシに話しかけてきた。
「どうしたんだ?」
「じつは…… ナナシとしずくちゃんがわたしがねているときにおはなししているのをきいたけど…… その、やっぱりしずくちゃんはひとりでいっちゃうのかな?」
「……」
「とめることなんて、できないよね……」
「あぁ…… だろうな」
彼が淡々とそう答えると、彼女は下を向いて俯く。
ナナシとしても、結月達を失って傷心した彼女を癒す、アリスの友達になってくれるだろう雫が自ら間宮という危険人物の場所へ行く事をあまり良しとしていない。
だが、雫は間宮の手によってティア
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