第四話 三
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日が明けて。
アリスは意識が覚醒し、目を覚ました。
彼女はボーッとしながら、瞼をこすり、ベッドを左足から下りる。
それから、リビングの方までゆっくりと歩いていると、部屋を出た先で既に起きていたナナシが彼女へ挨拶をした。
「おはよう、アリス」
「ナナシ、おはよー」
「アリスが寝ている間、外を偵察していたがこの辺り一帯は敵が居ないみたいだった。多分、一時の間はここで暮らせるかもしれない」
彼はそう冷静に言うと、アリスは彼の顔を一度見て、それから俯いた。
明らかに様子がおかしい彼女に、ナナシは訝しげに尋ねた。
「一体どうした? 何かあったのか?」
「いや…… えっと……」
彼女はナナシに聞かれると、困ったように吃る。だが、アリスは意を決すると、本当の事をぽつぽつっと話した。
「ナナシとしずくちゃんのおはなし…… きのう、きいてたんだ」
「そうか、だが大丈夫だ。俺はお前を置いて行かないよ」
「うん…… そうだね…… ねぇ、ナナシ」
「何だ?」
「やっぱり…… いいや」
アリスはそう言うと、彼に先程とは違う笑顔を見せると、
「おそとにおみずはある? かおをあらいたいな!」
っと元気良く言った。
アリスと一緒に外へ出ようと玄関を歩いていると、雫が偶然にもリビングからこちらへやってきて、二人の姿を確認すると「おはよう」っと言葉を掛ける。
「おはよう、しずくちゃん」
「うん、君達はもう外に出るのかい?」
「あぁ、アリスが顔を洗いたいらしいからな、近くにある古い井戸まで連れて行くつもりだ」
「古い井戸? そんなものがあったんだね、私も付いてきていいか? 飲み水を確保しておきたい」
雫がそう話した時、ナナシは今更ながらにアリスの方へ顔を向けて、
「そういえばアリスは昨日ロクに何も食べて無いはずだ、大丈夫か?」
っと心配そうに聞いた。
「うーん、きのうはちょっとね…… たぶん、めのまえにたべものがあってもたべなかったとおもうよ……」
アリスは苦笑しながら手をフルフルっと振り、無理だというアピールをする。
まあ、確かに短い期間だったろうが親しい仲間の化け物になる姿や自分の父の成れの果て等を目の前で見てしまったから無理は仕方ないだろう。
しかし、今日は少し無理でもある程度食べないとまだアリスは七歳ぐらいの子供。すぐに衰弱して死んでもおかしくない。
「ついでに食べ物も取ってこよう、動物の肉だと火が必要だろうな」
「あらかた過去の人間達に取り尽くされてるだろうが、まだ残っている未使用のマッチ箱とかライターが残っているかもね」
「探そう、ついでに死んだ人間の死体も見つけたら入念に探して必要そうになりそうな物は拾う。何かポー
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