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無欠の刃
アカデミー編
卒業
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ミズキを睨み付ける。このままでは、イルカが殺されてしまう。恐ろしい予想に、カトナの全身の毛が逆立つ。
 この人は、ミズキには勝てない。ミズキとイルカでは、圧倒的なまでに対人戦闘での経験の差がある。同じ中忍でも、彼は人を助ける優しさがあり、対してミズキは人を殺す冷徹さがある。戦闘になれば、有利なのはどう考えても後者―ミズキだろう。
 先程いじったせいでチャクラはもう残りが少ない。獲物である大太刀は手元にない。体術のレベルはカトナが上だが、攻撃力の無さはカトナ自身が知っている。かといって、イルカを担いで逃げ切れるわけがない。

 どうすればいい、どうすればこの人を守れる? どうすればカトナは、大切な人を守りきれる!?

 …これしか、ないだろう。
 覚悟を決めて、カトナは隠し持っていた苦無を腹に当てる。
 先程いじった封印式のおかげで、前よりもチャクラが漏れだすようになっている。ナルトが危険になった時や感情を暴走させたときに、九尾のチャクラが漏れだしたケースがあるのは知っている。封印式で九尾のチャクラを少量とはいえ、引き出すことが出来るカトナもまた、体が危険に晒されれば、勝手に九尾のチャクラが漏れだしてくるかもしれない。その可能性は高いが、勝算は五分五分。いや、失敗して死ぬ可能性の方が高い。
 だが、見てるだけより、はるかにましだ。

 ―もう二度と、大切な人を目の前で無くしてたまるか。

 カトナはぐっ、と未だに痛む体を無視し、苦無を自分の腹に向ける。幸い、イルカは背中を向けているし、ミズキはミズキで、イルカの影にかくれているおかげで、カトナの行動に気が付いていないらしい。
 これなら、いける。
 覚悟を決め、カトナが自分の腹に苦無を刺そうとした瞬間。

 そこに、金色が、舞い降りた。

 見るものが見たならば、きっと、彼らはこう錯視したのだろう。
 四代目、火影と。
 それほどの速さをもってして、彼は、ナルトは現れた。

 「イルカ先生と、カトナに手ぇだすな。殺すぞ!!」

 ぽかんと、カトナは目の前の少年を見て、自分の腹部に誘うとしていた苦無をとり落とし、呟くようにして名前を呼んだ。

 「なるっ、と」

 なんでどうして、起きないようにちゃんと眠らせたのに、どうして起きてるの。
 カトナは泣きそうな顔になりながら、必死にナルトへと手を伸ばす。ナルトは、そんなカトナを一瞥し、そして傷ついたイルカを見た後、言った。

 「二人が傷つけられら多分、千倍にして返してやるよ、クソ野郎!!」

 ぶちりと、短気なミズキが怒り狂った表情を見せながら、余裕綽々な態度でナルトに近寄ろうとした瞬間、ナルトはその無防備な腹に掌底を放った。
 鳩尾に一発。体重を踏み込んだ葦に全部のせての、一発。
 その一発
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