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リリカルなのは
我らは聖王の代理人その1
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「だって、そいつは俺と同じ『化け物』なんだからよお!」


「いやああああああああああ!」


 『化け物』という言葉を聞いたすずかの反応は劇的だった。
 涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら悲痛な声をあげる。
 あまりの急展開にアリサはわけがわからなかった。


「すずかは『化け物』なんかじゃない!でたらめなこと言わないで!!」


 気丈に睨み付けながら吠えるアリサ。
 なのはとはやてはすずかに、しっかりして、大丈夫だよ、と声をかけている。


「いやいや、血を吸って生きる俺たち『夜の一族』が化け物じゃなくてなんだってんだ。
 まあ、『化け物』といっても人間よりも高等な種族だがね。
 化け物と知らずに仲良しごっこをしていたなんて、かわいそうに」


 かわいそうに、といいながら全くもって同情とは正反対の喜悦に歪んだ顔を向けられた。
 そんな態度にカッとなったアリサは反射的に叫んでいた。


「化け物だろうが何だろうが関係ない!あたしたちとすずかは友達よ!!」

「そ、そうだよ。わたしとすずかちゃんは友達だもん!」


 なのはも続けて叫ぶ。
 そんな様子をみたはやては、


「ほらな、すずかちゃん。何も怖がる必要はないよ?私たちの友情をなめたらあかん」


 この場に似つかわしくない微笑を浮かべてすずかに寄り添っていた。


「アリサちゃん、なのはちゃん、はやてちゃん……っ」


 感極まったすずかが、喜びの声をあげる。
 だが、面白くないのは、誘拐犯の男――月村安次郎だ。


「はん。安っぽい友情物語をみせやがってからに。すずかのせいで殺されるってわかってても同じことがいえるかなあ?」


 にんまり、とアリサたちの方を向く安次郎。
 背筋に悪寒が走ったアリサだったが、それでも気丈にふるまおうと――として失敗した。


「4人もガキがいたら多すぎだよな、なら一匹くらい処分しとかんと」


 男がもつ銃口がこちらに向けられている。
 濃密な死の気配を感じたアリサが、それでもめげずに安次郎をみやる。
 銃の引き金に指がかかるのがスローになって見える。
 次の瞬間、銃声が鳴り響いた。


 パン


 と、いう音がして思わず目をつむってしまう。
 襲い掛かる衝撃に身構えようとして――痛みを何も感じないことに疑問を覚えた。
 いったい何が、起こった?
 と、目を開けると、そこにはアリサたちを庇うように一人の男が立っていた。
 白いコートの上に白衣を背負うちぐはぐな背中が、彼女にはとても頼もしく思えた。
 両手に持った大ぶりの鉈のようなもの――後で知ったが銃剣というらしい――を十字架のように交差させ朗々と声を上げる。

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