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ソードアート・オンライン -Need For Bullet-
-Bullet2-少女の日常
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奈だ。 瀬奈がいなかったらあの広大な荒れ果てた世界で銃をぶっ放すことは無かっただろう。

そう、フルダイブVRにもう一度手を出すことも。

数年前ある事件があった。SAO事件と呼ばれるそれは日本中に衝撃を与えた。世界初のVRMMORPG ソードアートオンライン。その開発者である茅場明彦が引き起こした史上最悪の集団監禁殺害事件。当時ボクは15歳だった。お小遣いをためて、貯金してきたお年玉もすべて使って手に入れた夢のゲーム機『ナーヴギア』と『SwordArtOnline』。宿題を終わらせて弾む気分で入っていったその世界に、ボクは2年間も閉じ込められた。


「………い…………おーい!もしもし聞こえてますか〜?」
「はうっ!な、なに?」
「なに?じゃないよ。ボーッとしてないで机戻すよ。」
「ああっ!ごめんごめん。」


2年間の仮想空間での生活は苦しかった。 これまでの日常にはない死と隣り合わせの世界。 しかし、そこで得た物もある。 そして楽しくもあったそんな気もする。 死と隣り合わせの時間を楽しいと思えるなんてボクは少しおかしいのかもしれない。 それにお医者さんによればボクは一度死んだらしい。 ゲーム内で死ねばナーヴギアから放たれる高出力マイクロウェーブで死ぬ。 死ぬはずだった。 ボクのナーヴギアは幸運な事に脳を焼くために昇圧した際にCPUが焼けて動作を停止したのだ。 医師たちの懸命な治療でボクは一命を取り留めた。 しばらくは意識は戻らなかったらしい。 そして意識が戻っても身体の一部に麻痺が出るかもしれないと言われていたそうだ。 しかし幸運な事にこうして身体は問題なく動くし、頭もおかしくなってない。運良くボクは生き残り、こうして楽しい毎日を送っている。


「よっしゃー終わったー! いやー疲れた疲れた。」
「6割くらいあたしがやった気がするんだけど?」
瀬奈の口からため息がもれる。ため息ばっかりついてると幸せが逃げてしまうというのに。
「そーかもね〜。瀬奈はこの後暇?」
「あーごめん。今日このあとバイトなんだよね。」
「そっか。ごめんね。手伝って貰っちゃって。」
「いいよ。いいよ。 まこっちはおバカちゃんだからあたしが居ないとね〜!」
「バカじゃないもん! 」
「はいはい。じゃあね〜。」
ひらひらと手を振りながら瀬奈は教室を飛び出していく。……そして数秒後、ガッシャーンという何かが倒れる音と「痛ぁぁぁ!」という瀬奈の叫びが聞こえてきた。 ため息をつくから幸せがにげちゃったのだろう。




さてと、じゃあボクも帰るとしますかね。


平和な日常から、鉄と油の匂いにまみれた銃の世界に。




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