暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
33.錬金術師の帰還
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々しくうなずく。

「天塚の狙いが夏音だけとは限らぬ。あの雪菜という娘も優れた霊媒であろう?」

「まずい……姫柊は“雪霞狼”を持ってないんだ!」

 古城が焦る。

「せめてもの救いは、あそこに逢崎がいるっつうことだな」

 あのフェリーには、友妃がいる。彼女は“神意の暁(オリスブラッド)”の監視の任を解かれてはいるが“夢幻龍”を所持している。真祖さえも殺せる力を持つ獅子王機関の兵器なら天塚に対抗ができる。

「那月ちゃん、フェリーまで跳べないのか?」

「助けにいくのか」

「当然だろ。あの船には姫柊が乗ってるんだぞ! 凪沙や、他の知り合いだって、大勢!」

「無理だな。私には遠すぎる。空間制御の本質は距離をゼロにするのではなく、移動にかかる時間をゼロにする魔術だ。一瞬で移動できるというだけで、肉体には同じ距離を徒歩で移動したのと同じだけの負荷がかかる。跳ぶのは数キロが限界だ」

「魔術も万能じゃないってことか……」

 古城は苦悶するように低くうめいた。

「だったら彩斗の眷獣なら──」

「できるならやってるっつうの」

 彩斗は頭を掻いた。

「よくわかんねぇけど暴走したときから上手いこと眷獣が制御できねぇんだよ」

 天塚の偽物と戦い暴走したときから眷獣がなぜか操作できないのだ。先ほども埠頭に向かう際に“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”を顕現させたが、その形はなぜか不鮮明だった。こんな状態で他の眷獣を出せば暴走していたかもしれない。

「だったらどうすりゃいいんだよ!」

 古城がやり場のない怒りを露わにする。

「だから慌てんなっつうの。なんとために俺たちがここに来たと思ってんだ。な、那月ちゃん」

「そうだな。航空機はもう手配済みだ。都合よく機体を提供してくれた親切な連中がいてな」

 那月は無感情に説明しながら、彩斗の腹をノーモーションから殴った。本日二回目の鉄拳制裁に悶える。

(ワシ)も同行させてもらうぞ。文句ないな、南宮那月?」

 ニーナが強引に古城たちの会話に割り込んでくる。

「そうしてもらおう、偽乳。この吸血鬼(バカ)どもでは不安だからな」

「あれ、那月ちゃんは一緒に来ないのか?」

 訝しげに訊き返す古城を見上げ、那月が素っ気なくうなずいた。

「私たちはあとからヘリで追いかける。不本意だが、おまえたち以外にあれに耐えられそうなやつらの心当たりがなくてな」

「耐えられるってなんのことだ……?」

「もう嫌な予感しかしねぇな」

 どこか不安になる言葉を残して、那月は空間を歪めてその中に古城と立ち上がったばかりの彩斗を突き飛ばす。
 浮遊間の後に見慣れない場所に出現する。
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