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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
33.錬金術師の帰還
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「早く夏音ちゃんと合流しないと」
凪沙を抱きかかえながら友妃が立ち上がる。
そのとき背後から穏やかな声がした。
「あの人の目的はたぶん私でした」
「……
夏音
(
カノ
)
ちゃん!?」
雪菜が驚きの声を上げる。
「あの人が修道院のみんなを襲ったときのことを思い出しました。彼は供物になる強い霊能者が必要だと言いました。あの修道院には、たくさんの霊能力者が保護されていましたから」
「供物!?」
雪菜の言葉に全身の血の気が引く。
「まさか彼は錬金術師の材料にするつもりで、あなたを──」
「はい。だから私さえ近くにいなければ、みんなはきっと大丈夫です」
夏音は、覚悟を決めた者の優しげな表情でそう言った。そして彼女は避難した生徒とは逆方向に走り出した。
「夏音ちゃん!」
夏音の狙いに気づいたが凪沙を抱きかかえているせいで引き止めることができない。
代わりに動いたのは雪菜だった。
「友妃さんは、凪沙ちゃんをお願いします。
夏音
(
カノ
)
ちゃんはわたしが!」
「わかった。頼んだよ」
雪菜は夏音を追っていく。
友妃も急いで凪沙を避難所に送り届け、夏音たちと合流しなければならない。
「ほう。お前がニーナ・アデラードか」
那月の転移門をくぐった先にいたのは、第四真祖の少年と褐色の肌の色の色違いの浅葱だった。
「……那月ちゃん!? それに彩斗!」
那月は無言で古城を殴りつけた。畳んだ日傘の直撃を受けて、古城は仰け反った。
「その古の大錬金術師サマが、なぜ藍羽の顔をして偽乳を盛っているのかは気になるところだが……おまえの趣味か、暁古城?」
確かに偽物の浅葱の胸は異常に膨らんでいた。もともと浅葱もスタイルは良いほうだが、それ以上だ。
「違ェよ。つか、そんなことを言ってる場合じゃなくて──」
「慌ててんのはおまえだけじゃねぇんだ。少し、落ち着け」
彩斗は静かに呟いた。
那月から先ほど訊いたが、天塚が現在いる場所は彩海学園の宿泊研修生を乗せた定期便と予想されている。
彩斗の口調に天塚の位置を古城は理解した。
「嘘……だろ。だってあの船には凪沙や姫柊たちが……」
「だからなのかもしれんな」
ニーナが不機嫌そうに呟いた。
「“
賢者
(
ワイズマン
)
”を創り出す際に使われたのは大量の貴金属。そして供物となる霊能力者だ。復活直後の“
賢者
(
ワイズマン
)
”が力を取り戻すために、それと同じものを欲しても不思議ではあるまい?」
「そうか……あのフェリーには叶瀬が……!」
古城の声が震えている。天塚が知る中では、夏音は絃神島でも最高クラスの霊能力者だ。
そしてニーナは重
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