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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
33.錬金術師の帰還
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てる気がしました。たぶん前にもどこかで」
「……叶瀬さん、もしかしてあの錬金術師のことを知っているの?」
雪菜が困惑しながら訊き返す。
「錬金術師……」
しかし夏音はゆっくりと首を振った。
「いえ、あれはもっと恐いものでした。大切なお友達がたくさんいなくなりました。だから、もう二度と、あんなことは……雪菜さんも、どうか……」
夏音は雪菜のことを心配してくれているのだ。いなくならないで欲しい、といってくれたのだ。
「ありがとう。叶瀬さん──いえ、
夏音
(
カノ
)
ちゃんも気をつけて」
お互いに力強くうなずき合って、雪菜と夏音は、それぞれ違う方向へと駆け出した。
立ち入り禁止のロープを越えて、雪菜は船橋の中へと入る。
辿り着いた操舵室の光景は絶望的だった。
金属製の彫像と化して床に転がった船員たち。そして火花を噴き上げる船法装置。
すぐにこの状況を誰かに知らせなければ、と雪菜が思った瞬間、ゾッとするような悪意が背後から襲ってきた。鞭のように液体金属が雪菜のナイフを撃ち落とす。
「やあ。きみか、剣巫。ご自慢の槍はどうしたのさ?」
エアコンのダクトから融けた上半身を露出させていたのは、白いコートを着た錬金術師だ。
「天塚汞……!? どうして……あなたは死んだはず……!?」
「そうだよ。あの吸血鬼に殺されたよ」
驚愕する雪菜を見て、天塚は愉快そうに笑った。
「天塚汞……あなたは……」
「さすがにカンがいいね。そうさ、ここにいる僕は分身だよ。船の中をうろつくには、こっちの身体のほうが便利だからね──!」
天塚の輪郭がグニャリと崩れた。彼の胴体から突き破って現れた新たな触手が、雪菜に絡みつく。その瞬間、雪菜の視界が霧に包まれた。
「大丈夫、雪菜」
晴れた視界に映ったのは、銀色の輝きを放つ刀を持った少女だった。
「友妃さん……!」
ここにいるはずのない逢崎友妃が現れたのだ。
「またきみか。つくづく僕の邪魔をしたいようだね」
不愉快そうなに天塚が顔を歪める。
「きみが夏音ちゃんを狙う限り、ボクは何度でも邪魔するよ」
銀の輝きを放つ刀を天塚へと向ける。
「さすがに分身を何度も壊されるわけにはいかないからね」
全身をドロドロの液体状にして天塚が排水用のスリットに吸い込まれていく。
「天塚汞──!」
「逃がすか──!」
“夢幻龍”の刃をスリットに差し込むがもういなくなっているようだ。
友妃が刀を握ったまま操舵室を飛び出す。
「雪菜行くよ! あいつの狙いは夏音ちゃんだよ!」
そうだ。この船には、剣巫である雪菜よりも、剣帝である友妃よりも強力な霊媒を持
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