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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
33.錬金術師の帰還
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を吐く。
 その時期といえばちょうど、古城が第四真祖の力を手に入れた時期と一致していた。

「あとそのころからだったっけな。あの、よく暁先輩と一緒にいるいつも眠そうな先輩と行動しだしたの」

「それって緒河先輩のこと?」

 思いがけない言葉に雪菜は眉を寄せる。

「そう。緒河先輩。あの人も最初の雰囲気はすごかったからね」

 雪菜のカードに手を伸ばしながら、シンディが呟いた。

「そうだね。凪沙も最初に彩斗君に会ったときはビックリしたもん」

「そうなの?」

「うん。なんか恐いっていうか。なんか誰とも関わり合いを持ちたくないみたいな雰囲気があったんだよね。それでもなぜか古城君には普通に話してたんだよね。なんでだろうね」

 不思議そうに凪沙は語る。
 彩斗と古城が一緒に行動していたのは、彼が第四真祖の力を手に入れる前からだった。そして彩斗は最初から古城が第四真祖だということ知っていながら普通に生活している。彼に対してだけ謎が深まるだけなのだ。
 そんなことを考えているうちに時刻は間もなく午前九時。午前七時に絃神観光港を出港したフェリーは、十一時間半をかけて東京湾に到着する予定だ。

「このあとの予定ってどうなってるんだっけ?」

「十時半にホールに集合。教材映画観て、それから昼食」

 シンディの質問に、委員長がすらすらと答える。

「お昼ご飯なんだろうねえ。カレーかなあ。カレー食べたいなあ。あ、夏音(カノ)ちゃんだ」

 窓際に立っていた叶瀬夏音が、銀髪を揺らして振り返る。

「あ、凪沙ちゃん。皆さんもおはようございます」

 恭しく挨拶する夏音の胸元には、大きな黒い双眼鏡がぶら下げられている。

「なにしてるの?」

「このあたりで野生のイルカが見られるって聞いたので」

 そう言って夏音は碧い瞳を輝かせる。夏音は筋金入りの動物マニアだ。

「え、イルカ? わ、いいな、見たい!」

 凪沙が表情を明るくして立ち上がる。雪菜たちも窓側に移動した。
 そのとき夏音と雪菜の二人は何かに気づいた。フェリーが海面に残す白い航跡の隙間に、銀色に輝くなにかが浮かんでいる。
 金属質のそれは──




 倒壊した建物が撒き散らす粉塵と煙が、不吉な朝靄のように港を包んでいた。傾いた灯台の屋根に座り込んで、矢瀬はぐったりとしている。
 矢瀬が寸前まで乗っていた巨大なクレーンは、土台近くから斜めに切断されており、埠頭に横たわっている。本来なら矢瀬は死んでいただろう。
 それを救ったのは、黒い日傘をさした小柄な影だった。

「生きてるか、矢瀬?」

 場違いなフリルまみれのドレスを着た、南宮那月だ。
 空間跳躍(テレポート)で現れた彼女が、矢瀬を間
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