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続:おおかみこどもの雨と雪
エピソード3 絆〜前編〜
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私の家にはチャイムはないので玄関から母親を呼んだ。
「お邪魔しまーーす」
母親は聞き慣れない声に驚いたのかなかなか出てこない。
やがて母親はそこに立っている私たちの姿を見てさらに驚いたようでしばらくの間絶句する。
「ゆ…雪と、そ…草ちゃん…?」
「母さん、ただいま」
「お邪魔します」
私が言った後に草平も続く。
「久しぶり、母さん」
母は私を抱き締めていった。
「よく…よく帰ってきてくれたわ。お父さんにも挨拶しといで」
私が小学生の時と同じように居間のタンスの上には父親の運転免許証が置いてありそのとなりには母の作った焼き鳥が置いてある。私は免許証の中の父に小さく
「ただいま」
と言うと目を瞑り父に思いを募らせた。
父は雨が生まれたときからどこかへ行ってしまったらしい。
だが私は父はいつか帰ってくると信じている。
しかし雨は帰ってこない。あんなに自然を嫌っていた雨が自らおおかみとなる道を選んだのだから私がどうこうと言う話ではないと思うが。
私がタンスから離れるとまず母は家から少し離れた菜園へと案内してくれた。
様々な野菜が元気よく育っているのがわかる。あのときとは全く違う風景だった。
「どう?よく育ってるでしょ」
母親が言うと私と彼はうなづく。不思議だ。あのときは見飽きていたような風景にこんなに見いってしまうなんて…時の流れは不思議なものだ。
母はその中の一本を抜いた。ジャガイモが育っている。
――そういえば我が家で初めて収穫できたのはジャガイモだったなぁ…
ジャガイモにはいろいろ思い出があるのだ。
母は根についているジャガイモを一つ一つ外すと私たちを引き連れて家へ帰った。母はその皮をむき細切りにするといつの間にか温めてあった油の中に入れた。しばらくするとカラッと揚がったジャガイモが浮かんでくる。浮かんできたジャガイモを皿にとると塩を振りかける。美味しそう。
「さぁ、どうぞ」
私と草平は一緒に口に運び、噛む。シャウっという音がする。とともに口の中にはジャガイモの風味が広がりどこか懐かしい…
私は思わず何度も口に運ぶ。
「これは雪が幼い頃好きだったおやつなの」
なるほどどうりで懐かしい味がするわけだ。
草平も気に入ったようでバクバク食らいついている。
私はそんな草平が好きだったのかもしれない。いや、好きだったのだ。
いつの間にか私も彼の魅力に惹かれていた。
もし草平と子どもを作ったらその子どもは何て呼べば良いんだろうか。私がおおかみこどもだからその子どもはおおかみ孫かな?
そんな妄想をしているうちに草平が口を開いた。
「…ごちそうさまでした」
草平は私が妄想している間にも食らいついていたようでもう皿には何も残っていない。
「草ちゃんもう食べちゃったの!?…良いの良いの、男の子はそれぐらいが
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