夜明けと夕暮れ、秋色に
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いが大好きになってた。もっと、もっと……と、空腹を満たすように。
親には大きなお金が沢山入って、生活は全然苦しくなくて、親が文官として昇進までしたから屋敷まで買って、最高の毎日だった。
ただ……ふとした時にあたしを見る親の目が、エモノと同じに変わっていった。日常で交わす言葉も、少なくなった。
家にいるはずなのにたった一人で生きているような感覚。
だからだろうか。上層部のジジイ共と相対してるババア達に慰み者としてたまに呼ばれても、すんなり受け入れられたのは。
十三になった頃、隣町の隠れ屋で会合をしている者達を皆殺しにしろ、と……親から仕事を依頼された。
自分の中で何かが変わった気がした。目的も理由も理解出来た。頭の中に風の音が吹いて、ナニカを崩した。
当然、給金は無かった。血の匂いもハラワタも絶叫も、何も変わらない。ヒトゴロシと他者の苦悩や絶望に対する快感だけが、何も変わらないただ一つ確かなモノだった。
そのくらいの時機から、上層部のババア達の慰み者になる回数が増えた。袁家の女達は見た目がいい女子に目が無い。不幸な事に、あたしは見た目が良かったらしい。
派閥争いは激化するばかり。女ばかりの派閥で初めっからお抱えになれたのは幸せだったのだろうか。
十四の頃、表では下級武官として、裏では昏い部分を任されていた自分に、一つの仕事が来た。
親を殺せ、と。
ああ来たか、と思った。
あの人達は目立ち過ぎた、欲を出し過ぎたのがバレたのだ。袁家の邪魔になったら、もうお払い箱でしかない。ゴミを捨てるように切り捨てられる。否、後も残らないから、ゴミ以下だ。
親殺しは禁忌の行いで、それを行えば獣以下に堕ちると理解していた。人として僅かに残っていたナニカが、あたしを動かした。
逃げよう、と言った。あたしが守るから、と言った。逃げようとしたんだ。
そうして走って、走って、走って……背中を刺された。疑心暗鬼に苛まれた両親は、逃げる道中であたしを……
†
「ぅ……ん」
目が覚めた。こんな闇も開け遣らぬ丑三つ過ぎに。寝苦しいというほどは暑く無い。いつものように異質な気配や敵意を感じたわけでもない。寒さは、感じるはずも無い。
この両の腕で抱きしめている人がいるのだから。
きっと夢のせい。自分が見ていた夢のせいで、目が覚めてしまった。ほら、口元が吊り上ってる。
眠る前の情事の気だるさが脳髄に甘い痺れを齎す。身体を動かす事すら億劫だったが、抱きしめたい心が優先された。
肌と肌が合わさる。温もりはいつでも変わらずに、心と身体を暖めてくれる。すべすべとした白磁の肌は磨き抜かれていて、明けへと落ち行く月光に淡く照らされて美しい。
その柔肌に、首筋に……一つ、一
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