暁 〜小説投稿サイト〜
無欠の刃
アカデミー編
封印術
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
も乱すことはできない。
 ただ、黙々と、淡々と、その行為に集中し続ける。
 カトナの集中力は凄まじいものだ。一度、これと決めたものが果たされるまでの間、彼女の集中力は乱れない。たとえ攻撃を受けたとしても、例え罵詈雑言を吐かれたとしても、彼女の集中力は乱れない。唯一乱れるとするならば、それはナルト関係だけだ。

 そしてそれは、唯一明確な、弱点となる。

 がさりと、近くの茂みを踏む足音が聞こえた。
 その音に反応し、ナルトの体が、うごく。
 その反応に、カトナの集中力が、刹那だが乱れた。
 指が、ずれ。
 チャクラコントロールが乱れ。
 焼き付くような痛みが、業火に焼かれる痛みへと変わる。
 小さなうめき声が、彼女の口から洩れる。
 音を立てた人物が、彼女の声に反応し、近づいてくる。
 すぐさま、それに気が付いたカトナは直ちに首から指を離して、ばっ、とナルトとその巻物を木陰に隠すと、身をひそめる、ふりをする。
 数秒の間の後、カトナの体に蹴りが叩き込まれる。

「なんでここにいやがんだよ、九尾の化け狐よぉ!」
「…弟を騙した、のは、あんた、か」

 ごほっごほっとせき込みながらも、蹴られた衝撃を旨く利用し、木から落ちてゴロゴロと地面を転がる。まるで役者のようにわざとらしく、注意を引きやすいように大げさに、上にいるナルトには決して気が付かせぬようにと、カトナは目の前の男―ミズキを睨み付けた。
 ミズキはにやりと笑いながら、真実を知ったカトナに対して見下すような目を向ける。

「はっ、あのオツムの出来が悪い弟比べたら、ずいぶんましだなぁ。おっと、逃げようとしても無駄だぜ。お前も弟も、俺は殺すつもりできてるんだからなぁ!」
「…ばか、らしい」

 びくりと、ミズキの顔に青筋が浮かんだのを見ながら、カトナは、やれやれというポーズをとった。 逃げようというふりをしているものに向かって言うならまだしも、逃げるどころか、その場で動こうとすらしていないカトナに向かって言うなんて…意味が無さすぎる。
 こいつはあほかと、思わず素でそう感じたカトナの呆れたような視線に、短気なミズキはキレた。

 「そんなに今すぐ死にたいっていうなら、今すぐ殺してやるよ!!」

 そんな言葉と共に投げられた手裏剣は、直情的かつ直線的で、分かりやすいものだった。挑発した甲斐があったと思いながら、カトナはその、予想通りに投げられた手裏剣をよけようとし、体にまた痛みが走り、一瞬だけだが固まる。

 そしてその一瞬は、致命的だった。

 カトナは必死に体を動かそうとするが、もう遅い。手裏剣は、後一秒もあれば、彼女の体を刺し貫くだろう。
 覚悟を決めて、せめて急所は外そうと体をひねったカトナの視界に、影が走った。
 一拍の間の後、カ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ