アカデミー編
封印術
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!」
「…じゃあ、わたして」
「それとこれとは、話が別だってば」
一進一退。硬直し、進まない会話に、同時に二人は沈黙に陥る。
カトナとしては、何が何でもナルトは守りたい。禁術の巻物を盗まれたことで、里には一部の上忍に声がかかってしまっている。ただでさえ、巻物を盗んだことが里に知れ渡りかけているのに、こんな会話を繰り広げたとなれば、ナルトが信用できない忍と判断されかねない。これ以上、自分の所為でナルトの道が立たれるような真似は避けたい。
しかし、ナルトとて簡単に譲りたくはない。ミズキがナルトに言ってきた作戦は、明らかに杜撰でお粗末なもので、どう考えても信憑性に欠ける。話に出てきた、カトナを狙う人間とは彼の事だろうと、ナルトがすぐに悟ってしてしまえるくらいに、彼は杜撰だ。だからこそ、その隙につけこみ、巻物を渡す瞬間、得意の体術で彼を一掃。火影に突き出す気満々だった。カトナを守りたい、姉のように考え込むわけではなく、ただ単純な感情で彼は動いていた。
先に、言葉を放ったのはカトナだった。
「ナルト」
「…何言われても、絶対に! わたさねぇってばよ!!」
そういって、べー! とべろを出した彼に、カトナはにこりと笑った。
綺麗な綺麗なその笑みに、思わず、ナルトも吊られるようにして笑顔になった瞬間、
「おやすみ」
彼女は、平凡な挨拶を告げながら、指で印を組んだ。
ナルトの持ち前の、獣のような勘が告げる。
―実力行使。
ばっ、ばっと、カトナが組んだ印を見るよりも先に、後ろに飛びのいたナルトは、両手を顔の前で組む。
姉が本気で攻撃してくるとは思えない。だが、実姉がナルトの為ならば、どんな無茶でもしてしまうことを、今までの経験で身を持って知ってしまっている。
チャクラをなるべく使わない高度な忍術で、一発で仕留めて来るだろう。なにがくるか。そう思いながら、まるで猫のように全身の感覚を逆立てさせたナルトは、次の瞬間、ふわりと、翼が舞ったように感じた。
そして襲い来る、圧倒的な眠気。
幻術だと、気が付くよりも先に、ナルトはなすすべもなく木から落ちかけ、すんでのところでカトナに服を掴まれ、引き上げられる。
「幻術、相変わらず、耐性ないね」
そういいながら、木にもたれさせるようにしてナルトを座らせたカトナは、自分が使った幻術を思い出す。
涅槃精舎の術。相手の眠気を誘い、無防備にしてしまう。暗殺などには結構有効な幻術の一つ。
忍術の中でもAランク。上忍でも一部の物しか使えない、高度な幻術だが、チャクラコントロールが長けているカトナにとって、その幻術は造作もないことだった。
「没収」
そういいながら、カトナはぐーぐーと寝ているナルトの頭を撫でると、大事そうに抱え
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