暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第2話 心を許せない仲間
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ャリア持ちとして上の人間とやりあってきたはやては経験から学んでおり、“フォロー”という言葉を使う時点で、この返しは想定済みだ。
 もちろん、そう返された時のこちらの返しは準備済である。

「そうしてくれて構わんよ。ただ、どこをどうフォローしたかは、後で口伝でもええから報告してくれると助かるわ。こちらとしても、隊員の得手不得手は把握しときたいからな」

 もちろん、その後でフォローしたいうところはきっちりチェックさせてもらうけどな。
 最後の一文は心の中だけで付け足し、ラディオンの反応を覗う。
 彼は少しだけ考える様子を見せたが、こちらの答えに満足したのか立てていた片方の指を下げた。

「それではもう一つの質問を」

 はやてはそこで気を引き締めなおす。
 最初の質問は読めていた。だが、こちらの質問の方は読めていないかったのだ。
 つまりはここからは、台本なしのでたとこ勝負。
 少し体が前のめりにしながら、彼の一言一句、一挙手一投足に注意を傾ける。
 はやての注意を一身に受けながら、ラディオンは最後の質問を口にした。

「自分の仕事はデスクワークだけですか?それならすごい不満です」
「……」
 
 予想外の質問にはやての思考が止まる。
 ラディオンのこの質問。そのまま裏の心意を汲むのなら、他の仕事――おそらく具体的には戦闘方面だろう――もしたいということになる。
 だが戦闘に参加することに(スパイ)のメリットは少ないはずだ。
 戦闘というのはつまるところ結果さえでればいいという面がある。
 定式など存在しないしやり直しもきかない以上、意見を言ってもケチをつけていると一蹴されることも多い。
 しかも戦闘に出れば否が応でも目の前の敵に集中しなければならなくなり、現場からは全体が見えにくくなる。
 確かに現場でしか見えないものもあるにはあるが、その多くは戦闘の後に上げられる報告書を見ればある程度は把握できる。

 つまるところ彼のこの質問は、自分の仕事を余計に増やしてほしい、ということになる。

 いや、もしかしたら自分の考えが及んでいない裏の意図があるのかもしれない。
 はやてはそう考え、一度黙って彼の質問の分析を続けた。
 しかし質問をしたラディオンの方は、その沈黙が催促に思えたのだろう。さらに自分の話を続けた。

「自分は確かにデスクワークもできますが、本職は戦闘です。なのに今回の任務は、“デスクワークの補助”、とあります。一介の局員が人事に関して口出しするのは分不相応とは思いますが、これでは、なんというか……不満です」
「え、えぇっと……」

 だがはやての危惧はただの深読みのしすぎだったようだ。
 目の前できつく眉根を寄せるその姿は、どう見ても現状に不満な一人の少年そのもの。

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