悪魔の島編
EP.18 ウルティアの誘い
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見つけられないという事に、疑問と少しの不満――まあ、突っ込むのも野暮というものだろう――を抱いた。
そこで、先に資材置き場に行っているのかもしれないと、来てみたのだが……
「ワタルどころか、誰もいない……」
「みんなここにいたのか?」
「村がなくなっちゃったからね……でも、どうしたんだろ」
「とりあえず傷薬と包帯貰っとくぞ」
不可解な事に、ワタルどころか、資材置き場を拠点としていた村人の姿すら無い。
ナツとルーシィは頭を捻り、グレイは彼らの中では重症だったため治療道具を拝借しにテントの中に入っていく。
そんな中で、流石に不満よりもワタルに何かあったのではないかという不安が勝ったのか、エルザは心配そうに周りを見回す。
その時だ。
「あれは……鳥?」
エルザと同じように辺りを見回していたルーシィが、空を飛んでこちらに近付いてくる、白い鳥のようなものに気が付いたのだ。
黒い枠の正方形を中心に刻んだその白い鳥はあまりに無機質で、生命力を感じさせないが、今回の依頼の原因である紫色の月光に照らされて目立っていた。
その鳥の形をした何かは、ルーシィと一緒に自分を見ていたエルザの腕に止まる。
「ああ、ワタルの式神じゃないか」
「式神?」
「ああ。紙に魔力を込めて自律させてるそうだ。戦闘はこなせないが、色々な雑用なんかを任せられるとも言ってたな……この場合は伝令か」
ルーシィにエルザが簡単に説明する中、役目を果たした式神は元の紙に姿を変える。
中心に、鳥に刻まれていた物と同じ黒枠の正方形が書いてある紙。その裏を見れば、ワタルの字で何か書かれており、エルザはそれを読み上げる。
「なになに……至急、村に来られたし――だそうだ」
「それだけ? でも村は――」
「ああ、アイツ等がメチャクチャにした」
ルーシィといつの間にか近くに来ていたナツが顔を見合わせて話す。
村が昨晩、リオンの手下たちによって壊滅した事はワタルも知っている筈なのだが……と、エルザは首を捻るも、他に当ては無い。
グレイの怪我の応急処置が終わり次第、村の跡地に向かう事を決めたのだった。
= = =
遡ること10分……ウルティアを撃退――逃げられたという方がワタルの心情的には正確か――したワタルは、エルザの合流を目的に資材置き場に向かっていた。
しかしその途中で、ワタルの耳は村人たちの歓喜の声を拾い、その方向へ進むと、信じ難い光景に目を見開く。
「これは……どういう事だ?」
人的被害は無かったもの、村はリオンの手下がばら撒いた溶解液で消滅したと聞いていたし、ワタル自身もエルザと一緒に村の惨状を見ている。
だが、今彼の目の前にあるのは村
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