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水華
第三章
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世でということじゃ」
「それであの花に」
「花ならば。別れることはない」
 彼は言う。
「じゃからな。こうして」
「花ならば、ですか」
「うむ。決して別れることはない」
 老人はじっと花を見ていた。それはただ湖の中に浮かんでいる。
 何も語らない。しかしそれは決して離れることない。湖の中に咲いている。
 この花は二つの部族にとって愛情を表わす花となった。それは人としては結ばれることのなかった二人のことを思ってのことである。ワヨタとオジーターは人間として結ばれることはなかった。だが花として一緒になることができた。二人は今も湖の中で咲いている。



水華


                  2007・3・4

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