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トラブル=バレンタイン
トラブル=バレンタイン
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「放課後西一丁目の公園で待ってて」
「俺の通学路と逆じゃないか」
「だからよ。そこならばれないから」
 実は二人の交際は学校では内緒にしているのである。見つかると何かと周りが五月蝿いからだ。
「放課後。それでいいよね」
「時間はそれでいいけど」
「お互いばれたらまずいじゃない。だからね」
「わかったよ。それじゃ」
「うん」
 こうして渡す時間も決まった。後はそれまで何食わぬ顔で過ごすだけである。
 周りではもう渡す渡さないの話になっている。だが早苗は何も知らないといった涼しい顔で学校での時間を過ごしたのであった。
 そして部活が終わるまでそのままの顔であった。部室を出た瞬間に表情を変えた。まるで仮面を脱ぐ様に。
「さてと」
 にこやかな顔になっていた。そして体育館を後にする。だがここで声がかかった。
「ああ筒川」
「はい!?」
 クラスの担任の声だった。後ろから声をかけられ振り向く。
「丁度よかった。今帰りか」
「何かあるんですか?」
「うん、実はな。ちょっと手伝って欲しいことがあるんだ」
「はあ」
 癖のある髪の三十代の男の先生である。授業では美術を教えている。
「職員室に来てくれ。クラスの奴も何人かいるからな」
「わかりました」
 断る暇もなかった。そしてそのまま職員室に案内される。そしてそこで先生の作業の手伝いをさせられた。壊れた棚の修理であった。運悪く先生に見つかった他の数人のクラスメイトと一緒にそれを手伝う。終わったのはもうかなり経ってからであった。
「やれやれ」
 やっと終わったのを見て公園に行こうとする。だがまたしても先生に呼び止められた。
「悪かったな。それで御礼なんだが」
「御礼?」
「ラーメンをご馳走するぞ。皆来い」
「ラーメンですか」
「手伝ったかいがありますよ」
 他のクラスメイト達はそれを聞いて喜びの声をあげた。だが早苗にとってはいい迷惑だった。
「筒川もな。来い」
「・・・・・・はい」
「ん!?嫌か!?」
「いえ」
 学校のすぐ側のその店に入ってラーメンをご馳走になる。醤油ラーメンは美味しいことは美味しいのだが時間にとっては美味しくはなかった。店を出てようやく解散となったが早苗はさらに焦りはじめた。
「まずいなあ」
 外は暗くなって大分経つ。きっと今頃岳は公園で待ちくたびれていることだろう。言い訳のことよりもまずそれを思うと溜息が出た。
「こんなことになるなんて」
 待たせるのは辛い。早苗は今その気持ちを味わっていた。そして溜息を出したのであった。だが出したところでどうにもならないものであるのはわかっていることであった。
 とりあえず行くしかなかった。もう公園にはい
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