運命は優しく…残酷だ
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うな感じが窺えた。彼女の性格から考えて、そんな躊躇するような子ではないと思うが…。
「せ、セイバーのクラスで現界した。……名は明かせぬが……マスターの為に尽力を尽くす覚悟はある。その……」
「……?」
セイバーが何かをした動作が伝わってきた。少し戸惑いながら後ろを振り向くとそこには右手が差し出されていた。握手を求めているのか?とセイバーの行為に疑問を持った。彼女は俺の事を信用していなかった気がするが、これは一体どういう心境の変化で?
「セイバー、これは?」
「すすす、少しだけ!少しだけお前を信用してやる!だから……自己紹介だッ!!」
よっぽど恥ずかしいのか、それとも照れてるのか俺から視線を逸らして握手を求めるセイバー。その頬は仄かに赤い。
正直、嬉しいという気持ちもあるが驚きの方が大きかった。セイバーは俺の事を阿呆だのと言って罵っていた気がするのだがそれは気のせいだろうか…。
「どうして急に?」
「……!!」
一番の疑問を投げつけた。その時、セイバーの目が一瞬見開かれ、顔が急に赤く火照り始めた。その顔には動揺の色が窺える。少しの沈黙の後、セイバーはゆっくりと口を開き始めた。
「い、今まで言おうとしてたのだが……うまく言う機会がなくてだな…その…今になってしまった…」
そこでセイバーは口籠ってしまった。何というか、セイバーには悪いが小さい女の子と話をしてるみたいな感じだった。なかなか素直になれなくて、そのせいで自分が言いたい事が最後まで言えないまま。
彼女の性格はそういうものだと思う。だけど、少しでもセイバーの事が知れて良かった。これからの戦闘ではお互いの信頼が重要な鍵となる。些細な事でも良いからもっとセイバーの事を知っておきたい。
俺はセイバーの差し出す手を握り、答える。
「よろしくなセイバー。情けないマスターだけど足を引っ張らないよう頑張るよ」
すると、その返事が嬉しかったのかセイバーはパーと笑みを浮かべるが左右に顔を振る。そして、いつものしっかりとした表情をしてセイバーは言う。
「確かに情けないマスターだ。し…仕方ない、オレが守ってやる!」
若干セイバーの言葉にぎこちなさがあったが、こうして、俺達には少しだけだが確かな信頼が生まれた。
ピピッ
軽快な音が部屋に鳴り響いた。どうやら端末機に連絡が着たようだ。複雑な心境だった。これから殺すか殺されるかの重要な発表だと言うのに妙に落ち着いている。ポケットから端末機を取り出し、確認する。画面にはこう書かれていた。
『二階の掲示板にて一回戦の相手を発表する』
二階の掲示板…と言うことはすぐそこで発表されるということか。
端末機をポケットに突っ込み、深呼吸をする
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