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死人使い
第五章

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「数は千より少し多いな」
「墓にいた分だけですね」
「多くなっているな、それでその死人はだ」
 彼等自身のこともだ。役は話す。
「グールだな」
「やっぱりそうですか」
「だから一太刀だ」
 それ以上の攻撃はならないというのだ。
「そしてだ」
「火も駄目ですから」
「少しやり方があるな」
「そうですね、じゃあやり方を考えていきますか」
 本郷は役の話を聞きながら不敵な笑みで言った。
「これまで通り」
「そうしていこう、ではな」
「今から村に入りますか」
 今は遠くに見えるその村にだった、二人は一歩踏み出した。そのうえでザッハラームもアジュラーンにこう言った。
「じゃあ今から」
「行ってきます」
「生存者も助けてきますので」
「少し待っていて下さい」
「頼んだ」
 ザッハラームはその二人に確かな顔で答えた。
「ではな」
「はい、それじゃあ」
「ここで待っていて下さい」
 こう言ってだった、二人は村に向かった。この時二人は一度も振り向かずザッハラーム達に背を向けたままだった。
 そうして村に入った、村は粗末な家が雑然と並び人の気配は全くしない。だがそれでもだった。
 妖しい気配に満ちていた、本郷はその気配を感じながらその手に刀と小刀を出してそのうえで役に言った。
「今にもですね」
「来るな」
「わかりますよね」
「はっきりとな」
 役も本郷に答えながらその手に剣を出していた。
「感じ取っている」
「じゃあ」
「来るグール達を倒しながらだ」
 そうしつつ、というのだ。
「まずは老婆だ」
「張本人を、ですね」
「急ぐとしよう」
「ええ、まだ生きているにしても」
「危険だ」
 グールの群れの中にいるのだ。それが危険でない筈がない。
「だからな」
「ここは、ですね」
「まずは老婆だ」
 グール達を操る彼女を先にというのだ。
「倒してだ」
「それからですね」
「死人使いの老婆さえ倒せばな」
「グールはどうにかなりますからね」
「だからだ、ここはだ」
「はい、婆さん見付けてやっつけましょう」
 こう話してだ、二人は村の中を進んでいった。すると。
 その前にだ、早速だった。
 服を着ているが腐った者達が出て来た、それこそが。
「早速出て来ましたね」
「グールだな」
「ええ、案の定」
 本郷は笑みを浮かべながら役に応えた。
「出て来ましたね」
「ではだ」
「一太刀で」
「それにだ」
 役は札も出した、そうしながら本郷に言うのだった。
「炎で焼いたり死体を傷付けることは駄目だが」
「それ以外の方法ならですね」
「それならいい」
 こう本郷に言っていく。
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