第六章
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「この雪です、ですから」
「だからか」
「今は」
「広い洞窟ですし馬も入れて」
そしてだというのだ。
「中でお話しましょう」
「それではな」
「今からその中に」
入ってだとだ、二人も答えてだった。
そのうえで馬と一緒に中に入った、マントは馬にかけてからだった。二人は老婆と話をしたのだった。
老婆にだ、ガウェインは自分達がこの森に来た理由を話した。この老婆にもそうしたのだ。
その話を聞いてだ、老婆は頷いて言った。
「わかりました、しかし」
「しかし?」
「竜は不死身です」
「そのことは知っているが」
「不死身であるだけでなく」
それに加えてだというのだ。
「相当な力があり爪も牙も尾もあり。しかも」
「まだあるのか」
「その息は毒です」
竜の息は様々だ、炎を吐く竜もいれば冷気や雷、酸もある。そしてこの森の奥にいる竜の吐く息はというのだ。
「恐ろしい毒です」
「毒を吐く竜か」
「左様です、しかし」
老婆はガウェインにここでこう言った。
「その息を防ぐことが出来ます」
「それはどうしてだ」
「この薬を。闘う前に」
こう言ってだ、緑の木の根を出してきた。
「これはあらゆる毒を打ち消す薬です」
「それを竜を闘う前に飲むのだな」
「はい、噛まれて」
そのうえで身体の中に入れればというのだ。
「そうされれば」
「そうか、ではその薬を」
「差し上げます、しかし」
「しかし。何だ」
「この薬を飲むとです」
老婆はこう話すのだった。
「左手に力が入らなくなります」
「左手か」
「左様です」
「ではだ」
老婆の話を聞いて己の左手を見たガウェインだった、その左手は闘いの時には。
「竜と闘う時に盾を持つことはか」
「はい、出来ません」
そうなるというのだ。
「そうなります」
「そうか、わかった」
「騎士様方はどちらに剣を持たれますか」
「私は右だ」
「私も」
ガウェインとエレインはそれぞれ老婆に答えた。
「それなら使えるな、剣は」
「そういうことか」
「そうです、しかし」
盾はというのだ。
「そちらの手は使えないので」
「つまり盾なしで竜と闘うことになる」
「その薬を飲めば」
「竜の毒は防げるが」
「守りはなくなるか」
竜の武器は息だけではない、爪に牙、尾もある。しかも魔法も使う。だからこそ竜は恐ろしい相手なのである。
その竜に盾なしで闘わないとならない、エレインはそのことを聞いて己の中でよく噛み締めてからガウェイン卿に言った。
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