第五章
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「それは」
「なら一つしかない、マントを貸してくれ」
「竜は」
「進めなければ意味がない」
こう判断してのことである。
「それならな」
「わかりました、それでは」
こうしてだった、二人は灰色のフードの老婆からはマントを受け取った。この日は二人は洞窟の中に老婆の好意で泊めてもらった、そして。
二人は朝早くから出発した、森に出たその瞬間に。
雪が降ってきた、雪は瞬く間に緑の森を白く染め上げてしまった。それは普通ではとても進めない程のものだった。
だが、だ。そのマントがだ。
二人の身体を温め前も見せてくれた、水晶玉と併せて使うとこれまで通り森の中を進むことが出来た。そして馬達も。
足は雪の上でも滑らかに進みだ、凍えもしない。手綱を引く二人の熱が伝わっているのか凍えることもない。だが。
二人は馬に乗れなくなっていた、乗ろうとするとどうしても上に上がれないのだ。それで馬の手綱を引いて歩いて進んでいる。
その中でだ、エレインはガウェインに言った。
「馬に乗れないことは」
「仕方ないな」
「はい、このマントがなければ」
「そもそもな」
「雪の中を進めないからな」
「仕方ないことですね」
こうガウェインに話すのだった。
「今は」
「そうだ、ではな」
「このままですね」
「前に進もう」
「森の中もかなり進んできていますね」
「そうだな、おそらくな」
「明日にでもでしょうか」
その白い森の中を進みながらこう言ったエレインだった。
「竜のいる場所に辿り着けるでしょうか」
「そうなるだろうな、ではな」
「はい、その時は」
「竜は不死身だ」
倒せない、それでだというのだ。
「私が竜を引き付ける、その間にだ」
「私がですね」
「竜は洞窟に住んでいる」
このことはどの竜でも同じだ、洞窟を寝座としていてそこに宝を集めているのだ。ガウェインはそのことから話すのだ。
「だから宝もな」
「妙薬もですね」
「その中にある、私が竜を引きつけているうちにだ」
「私が竜の洞窟に入って」
「そしてだ」
「はい、妙薬を手に入れて」
「去る、いいな」
こうエレインに話すのだった。
「それでいくぞ」
「わかりました、少し盗賊みたいなやり方ですが」
「しかしな」
「それでもですね」
「相手が相手だ、不死身の竜だからな」
それならばだというのだ。
「それも仕方がない」
「ではな」
「今はな」
こう話してだ、そしてだった。
二人は雪の森の中をさらに進んでいった、すると暗くなってきた時にだ、二人の前にまた洞窟が姿を現した。
その洞窟を見てだ、まずはガウェインが言った。
「まさかとは思うが」
「今度はですね」
「竜の穴かも知れない」
こう言うのだった。
「気を
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