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三人の魔女
第一章
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                三人の魔女
 遠い果てを目指してだ、騎士ガウェインは自分が可愛がっている若い騎士であるエレインと共にその果てにある宝を探しに行っていた。
 その中でだ、エレインはガウェインに尋ねた。二人共兜と鎖帷子を着て馬に乗っている。
「あの、ガウェイン卿」
「何だ?」
「目指す宝ですが」
「それのことか」
「はい、どうやらですが」
 この前置きからだ、エレインは言うのだった。
「手に入れることは相当に困難かと」
「その様だな」
「はい、ここから入った森の」
「その奥にだな」
「竜がいてです」
「その竜はだな」
「不死身です」
 何があっても死ぬことはない、そうした竜だというのだ。
「その不死身の竜が守っている宝なので」
「だからだな」
「手に入れることは。しかも」
「森は深く道もない」
 ガウェインも言った。
「竜に辿り着くまでもな」
「出来ません、尚且つです」
 困難はさらにあった、竜や森の他にも。
「森には雪が降り」
「その雪はあまりにも深くしかも凍る」
「それもあります、ですから」
「宝を手に入れることは難しい」
「相当に。ガウェイン卿でも」
 円卓の騎士の中でもランスロットと並び称され無類の強さで知られている彼でもだというのである。エレインは言うのだ。
「困難かと」
「いや、それでもだ」
「王からのご命令だからですか」
「我々が今手に入れようとしている宝は何だ」
「妙薬です、万秒を癒す」
 エレインは毅然とした声でガウェインに答えた。
「それは」
「そうだな、その薬がどんなものかマーリン卿が調べてくれてだ」
「その薬が世に広まればですね」
「多くの者の命が救われるのだ」
「だからこそですね」
「王はご自身の為に何かを命じられる方ではない」
 アーサーはそうした王ではない。
「だからこそだ」
「ガウェイン卿もですね」
「王の為に戦いだ」
「そのうえで」
「その薬を手に入れてだ」
「万民を救われますか」
「そうしたいのだ」
 ガウェインは前を見つつエレインに答えた。背は高く身体は引き締まっている。緑の目の光は強く顔は端整である。髪は見事な黒だ。
 その彼がだ、金髪碧眼で若々しく見事な顔のエレインに言うのだ。
「だからこそだ」
「今も向かわれていますか」
「そういう卿こそだ」
 エレインを見てだ、ガウェインから言ってきた。
「帰らないのか」
「私がですか」
「森も雪もあり相手は不死身の竜だ」
「困難な任務だからですか」
「そうだ、私一人で言っていいのだ」
 ガウェインはこうエレインに言う。
「それでだ」
「いえ、それは」
 エレインは微笑んでだ、ガウェインに答えた。
「私も円卓の騎士です」
「だからか」

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