第三章
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「駄目なのよ」
「これは困ったわね」
「告白したらすぐに済む話だけれど」
「それが出来ないっていうのは」
「辛いところね」
「仕事ならともかくね」
恋のことはというのだ。
「こうしたことは」
「ううん、けれどね」
「あの人独身よ」
「それに彼女もいないらしいし」
「狙い目よ」
「それでもよ」
例えだ、相手がフリーでもだというのだ。
「告白することが怖いのよ」
「そこまで凄く勇気がいる」
「そういうことね」
「ええ、それにね」
しかもだというのだ、キャシーはまるで目の前に幽霊がいる様に怯えている顔で話す。
「告白してもふられたら」
「それが怖い」
「そうなのね」
「若しふられたらよ」
その場合のことをだ、キャシーは怯えている声で話すのだった。
「どれだけ怖いか」
「まあね。告白することも勇気がいるけれど」
「告白してもふられたらね」
「ダメージは確かに大きいわね」
「心にくるわね」
「一回そうなったことがあるのよ」
キャシーは自分の過去も話した、ここで。
「学生時代ね」
「だから余計になのね」
「告白するのが怖いのね」
「幾ら好きでも」
「好きになった相手でも」
「告白、すぐに出来ればね」
今度は思い詰めた顔で言ったキャシーだった。
「それで受け入れてくれたら楽だけれど」
「そうなるとは限らない」
「だからなのね」
「辛いわ」
本当に、というのだ。
「だから今もね」
「あっ、あまり食べてないわね」
「どうも」
「これ一杯食べるのがやっとよ」
目の前のビーフカップをというのだ。
「それからもね」
「ずっと悩んでいる」
「恋のことで」
「そうなの、辛いわ」
本当にというのだ。
「どうしたものかしら」
「そうですか」
「そのことはですか」
「そうなの、かなり辛いわ」
こう言って思い悩むキャシーだった、そうしたリーを想う日々の中で。
その彼女を見てだった、友人達は彼女に言った。
「あんた最近ね」
「変わったわね」
「変わったって?」
「ええ、痩せたわ」
そうなったというのだ。
「これまでよりもね」
「痩せたわよ」
「えっ、そうかしら」
友人達のその言葉を聞いてだった、キャシーはその切れ長の目を丸くさせてそのうえで驚きの声をあげた。
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