第五章
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かしがっているのがわかる。
「あのね、また店に来てくれるのよね」
「うん」
絵梨奈の気持ちをやっと知ったうえでの言葉だった。
「僕でよかったら」
「そうよ、別に来なくてもいいけれど」
そうは言っても心は別なのはもうわかることだった。だがその口調は変わらない。
「いいのよ。それでも」
「来るよ」
彼はまた言う。
「会いにね。それでいいよね」
「勝手にしなさい」
そう言葉を返すのだった。しかしこれで二人の仲は決まったのだった。
聡は一人で店を出た。しかしその手には大きなぬいぐるみを幾つも持っていてそのうえ頬には紅い唇の後があった。
少し照れ臭そうな顔をしている。二人もそれに気付いた。
「よお」
「何かあったのかよ」
「ちょっとね」
その照れ臭そうな顔に笑みを交えて応える。
「告白されたよ」
「へえ」
「やったじゃねえかよ」
二人はそれはもうわかっていたがそれでも応えた。
「それであれか?今度デートでもか?」
「そうなんだ」
そう二人に答える。
「ちょっとね。今度の休みに」
「当然行くんだよな」
「断ったら許さないって言われたよ」
絵梨奈も強引に話を進めたのだ。やはり聡と一緒にいたいからなのだ。
「だから」
「そうか。まあ頑張れよ」
「応援しているからな」
「けれど。わからなかったよ」
彼は困った顔で二人に言うのだった。
「わからなかった?」
「何がだよ」
「だからさ。僕のことが好きだったなんて」
その困った顔で述べる。やはり気付いていなかったのだ。
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