第四章
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「だからな。御前本当に気付いていないのか」
「あれに」
「悪いけれど何が何だか」
答えは相変わらずであった。二人は聡のどうしようもない鈍感さに内心でこれまでにない深い溜息をついた。しかし心の中なので彼にはわからない。
「わかるさ」
「多分な。今度でな」
「今度って次にお店に行った時?」
「そうだよ」
「落ち着いて対処しろよ」
「よくわからないけれどわかったよ」
こうした時にありがちな返答だった。聡は何が何なのかわからない顔を見せたままであった。これが二人のそれとは全然違っていた。
「じゃあ今度だよね」
「ああ」
「頑張れよ」
「うん」
二人のその言葉に頷く。
「それじゃあ次に」
「ただしな。今度は俺達は行かないからな」
「それはわかってくれよ」
「何で?」
二人の言葉にキョトンとした顔を見せる。
「三人で行けばいいじゃない」
「用事ができるんだよ」
「そういうことだ」
二人はつっけんどんな言葉をぶしつけな顔で返した。その顔を見ると不機嫌なように見えるがどうもそうではないようである。
「わかったな。じゃあ一人で行けよ」
「わかったよ。それじゃあ」
何が何なのかわからないまま二人に頷く。そうして暫く経ってから本当に一人で店に向かった。実は二人はそれを遠くから見ていたのだった。
「どうなるかな」
「さてな」
彼等は離れた場所で聡が店に入るのを見ながら話をしていた。喫茶店でアイスティーを飲みながらだが紅茶はそっちのけであった。
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