第三章
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金を払う。その時何故か絵梨奈は自分から手を差し出してお金を受け取るのだった。その時手と手が触れ合うと絵梨奈の顔が赤くなった。
「あっ」
「御免」
「謝らなくていいわよ」
彼女はキッとした顔で言葉を返す。
「こんなことで」
「そうなの」
「そうよ。じゃあ買ったわよね」
赤らめさせた顔のままで彼に言う。
「これでいいわよね。じゃあ終わったのなら」
「帰れってこと?」
「少しなら次に買う品物見ていいわよ」
こう来た。それを見て裕樹と逸郎はまた言い合うのだった。
「ここまで露骨なのってねえよな」
「ねえって」
そうヒソヒソと話をする。
「やり過ぎだろ」
「だよな」
「ほら、見たいのなら見なさい」
絵梨奈は二人の言葉を耳に入れずにまた聡に言う。
「好きなだけ見ていいから」
「あれっ、さっき少しだけならって言ってなかったっけ」
「事情が変わったのよ」
実に奇妙な返答であった。だが実際に彼女にとっては事情が変わったのである。少なくとも彼女個人にとってはそうなのである。
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