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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第6話 「姉妹」
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頃鬼の形相で部屋にすっ飛んで来ているだろう。声が聞こえたから部屋にいるってどれだけ単純なんだ、お前は。
「す、すまん。つい・・・。」
「気にするな。茶を入れてやるからそれ飲んで落ち着け。」
俺は簡易キッチンに向かう。俺はコーヒーの方が好きだが、客人用に一応買っておいた甲斐があったな。
「それで用件は?まあ粗方予想はついてるけど。」
「・・・姉さんのことだ。お前と姉さんの関係について聞きたくてな。」
まあ、それしかないよな。お茶とコーヒーを作り終えた俺は箒にお茶を渡すと、荷物の中からあるものを取り出す。重厚なそれを床に置くと、箒は驚いたようにそれを見つめる。
「箒、お前将棋はさせるか?」
「あ、ああ。一応心得はあるが。」
「じゃあ指そう。心を落ち着かせるにはちょうど良い代物だ。話は指しながらしてやる。」
俺は目の前の将棋盤の上に駒箱から駒を移し、無言で王将を掴み取った。箒も俺に従って駒を並べ始める。
「「お願いします。」」
「そうか。姉さんがお前をな・・・。」
パチ。
「そういうことだ。言ったろ?束さんは俺の命の恩人だってさ。」
パチ。
心地よい駒音が響く中、俺は箒に全てを話した。幼い頃の記憶がないこと、路上で生活していた俺を束さんが拾って育ててくれたこと。姉の意外な一面を垣間見た箒は少し複雑な気分のようだ。
「あの姉さんが赤の他人だったお前に興味を抱くとはな。正直意外だ。」
「・・・お前は束さんのことが嫌いなのか?」
俺は一番気になっていたことを聞いてみることにした。返答次第では俺の態度も改めなくてはならない。箒は少し考えた後、静かに口を開いた。
「・・・正直、よく分からないのだ。確かに家族がバラバラになったのは姉さんのせいだ。それは許せない。だが・・・。」
「だが?」
「・・・姉さんは優しいのだ。昔も今も、変わらずに。」
そう言って俺を見る。まるで俺が受け取った優しさを自分の過去と重ねるように。
「・・・案外そっくりなんだな。流石は姉妹ってとこか。」
「私と姉さんが、似てる・・・?」
よほど違和感を感じたらしく、箒は怪訝そうな表情を浮かべる。まあ、確かに雰囲気は真逆だけどさ。
「似てるよ。その不器用な優しさとかさ。」
パチ。
手元の将棋盤を見ると、いつの間にか箒の玉が詰んでいた。箒はしばらく盤面を見た後、笑顔を浮かべて立ち上がった。
「良いものだな、誰かに話すということは。少し楽になった。」
「そいつは良かった。また来ると良いさ。その時はもうちょい将棋強くなっとけ。楽しみにしてるぜ。」
「ああ、ではな。」
箒が出ていってすぐ、隣の部屋のドアが開く音がした。あらら、一夏の奴、帰ってきても大変そうだ
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