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その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇5
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は呪詛のようなうめき声を上げた。マズい――と、近年稀に見る真剣さで思ったのだが、
「何考えてるんだ! 下手すれば今頃輪切りになってたぞ!」
「お兄ちゃんこそ何考えてるの! いきなり人を刃物で切りつけるなんて、そんなの絶対ダメなの!」
 どうやら余計なお世話だったようだ。何やらよく分からないが。
「そんな事は知ってるが、時と場合と相手によるんだよ!」
「どんな時でも場合でも人を殺すなんて絶対ダメ!」
 今までの冷酷さはどこへやら。随分と感情的にその魔導師は白い少女と怒鳴り合う。というか、どうやらこの二人は兄妹らしい。驚くべきことだが――まず何に対して驚けばいいのかすらよく分からない。だが、何はともあれ好機――
「チッ!」
 舌打ちと共に、黒衣の魔導師が動いた。取り落としていたデバイスに手を伸ばしたこちらの腕を迷いなく踏み抜く。それと同時、妹を抱えて再び闇になって霧散した。油断も隙もない。つくづく徹底している。
(折れてはいないようだが……)
 バリアジャケットのお陰だろう。腕は折れてはない。……まぁ、それでもひびくらいは入っているだろうが。それくらいなら安いものだ。
「まだやるか?」
 ぎりぎり僕の間合いの内側で実体化したその魔導師が言う。暴れる妹を羽交い絞めにしたままなので今一つ迫力に欠けるが――それでも、油断なんてできる訳もない。
(どうする?)
 鈍く痺れる右腕はほぼ潰されたと言っていい。帰艦すれば治療の方法くらいあるが――今この場では何の役にも立ちそうになかった。だが、だからといって――
『待ってください』
 そこで、僕らの間に魔法陣が生じる。映し出されたのは艦長だった。
『私は時空管理局巡行艦アースラ艦長、リンディ・ハラオウンです。どうか詳しい事情を聞かせていただけませんか?』
「ハラオウン、か……。なるほど、どうやら身内は可愛いらしい」
 どこかで名前を聞いていたのだろう。黒衣の魔導師は、むしろ嘲笑ったようだ。
「勝ち目がないと踏んで、交渉に切り替えるつもりか? それとも、脅迫するだけの手札がまだあるのか?」
 表面上は嘲笑っているが――油断はない。むしろ、最大限に警戒している。妹を降ろし、金髪の少女達もろともに庇うように立ちはだかる。その姿からは、余裕のある殺気ではなく、ピリピリとした警戒を感じた。
『脅迫などしません。私達が望むのは――』
「ジュエルシード、だろ? なら、他を当たれ。あれは俺の獲物だ」
 艦長の言葉を遮り、黒衣の魔導師は言った。
「ああ、そうだ……。魔導師はどうやら命知らずばかりらしいが、一応言っておこう」
 再び魔力が収束する。僕らが何をするより先に、自らが庇う少女達を示して告げた。
「どんな理由であれ、この子達に危害を加えたなら、その時は必ず殺す。お前達が何者で、どれほど
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